読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『図書室の海』  恩田陸

図書室の海
恩田 陸 / / 新潮社
スコア選択: ★★★





『夜のピクニック』読後、気になっていた短篇集。
昨夜時間がとれたので、一気に読んだ。
恩田さんらしい語り口調が、私にはとても心地よかった。

全10篇からなる本書は、全体の雰囲気がSFっぽかった。好きである。


「春よ、こい」  のっけから好きだ。古今和歌集を引用するところがイイ。
   ことしより春知りそむる桜花  ちるといふ事かならはざらなん
   春ごとに花のさかりはありなめど あひみん事はいのちなりけり
   春ごとに花のさかりはありなめど あひみん事はいのちなりけり
   けふのみと春をおもはぬ時だにも  立つことやすき花のかげかは
   ことしより春知りそむる桜花  ちるといふ事はならはざらなん

「茶色の小瓶」  
   どちらの女性の気持も…実によく解る(解っていいのか?)
   看護師という職業に対するイメージが、肉体労働的なものだけだったが、
   知的な内面も窺い知れた。(看護師の方々は、尊敬しています。)
   知的な三保典子の、心理的な歪みは、恐ろしくもあるが…

「イサオ・オサリヴァンを捜して」
   これは、結末が先にヨメテシマッタ。
   でも、描写の美しさが情景を捉えられてイイ。

「睡蓮」   
   全体を通して流れる空気が、好きな作品である。
   小学二年生の理瀬の心の成長記録ってとこかな。
   異母兄弟の次兄への憧れから嫉妬、葛藤。 
   幼いながらも、女女していて面白い。
   ラストはもう少しミステリィがくるのかとと思ったが・・・
   案外、シンプルにまとまっていた。

「ある映画の記憶」  上手い。
   33歳の男性の過去の記憶に纏わるエピソードと、その真実。 
   読んでみてほしい。

「ピクニックの準備」  
   果たして、『夜ピク』を未読の読者に興味が持てるのか・・・
   『夜ピク』を既読のため、上手く言えないが…。
   著者があとがきで記しているようにこの先品は、『夜ピク』の
   予告編として一日で書いたものだ。 短編作としてボツになっている。

「国境の南」  
   何となく既読感。何故なのか、考えてみた。
   『出口のない海』だ!何処となく似た雰囲気がある。喫茶店という場所、と
   内容にも若干の共通点があるし。

「オデュッセイア」 ココロコ・・・アイデアは面白いが、途中から飽きてしまった。

「図書室の海」  
  『六番目の小夜子』の番外編としての書き下ろし。
  関根秋の姉、関根夏、高校三年生のエピソード。目の付け何処がさすが!

「ノスタルジア」 
  「SFマガジン」の女性作家ホラー特集のための作品。
  いつまでも続く、エンドレスな恐怖が、なんとも怖かった。


恩田さんは、これからも追いつづけ、応援したい作家の一人だ。
   
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by merrygoround515 | 2007-01-19 01:41 | Book