読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『不安な童話』 恩田陸

不安な童話
恩田 陸 / / 新潮社
ISBN : 4101234140
スコア選択: ★★★





深夜の読了、怖かった。

人の生まれ変わりという現象が存在するのかどうかは、何とも言えない。
でも今は、あるのかもしれないと、ちょっと思う。
本書を読むまでは、考えたこともなかったが。

はっきり言って、怖かった。
25年前に殺されている女性画家の、目に見えない怨念みたいな
生への固執のようなものが・・・
(この女流画家には)一切同情も思い入れもできなかったので、
放たれた情念がただただ、恐怖だった。

恩田女史の読みやすい文章力が、怖さには負けまいと
不思議な世界に私を惹きつけ…
まんまと最後まで囚われてしまった。読者を引き込むところはさすがだ。
冒頭からズルズルと本書の世界に引き込まれた。
でも終盤、深夜の一人きりの部屋では、ちょっと後ろを振り返り、
周りを見渡したくなるような…恐怖感も。  (何度か顔をあげてしまった)

内容は、(プロローグ以後)
女流画家・高槻倫子の遺作展に、浦田泰山教授と秘書の古橋万由子が、
幼馴染の今泉俊太郎と三人で足を運んだことから、始まる。
不思議な能力を持つ、主人公の古橋万由子。
物語は彼女の目線で展開していく。

後日、高槻倫子の息子が泰山教授のもとに現れ、
万由子は思わぬ方向へと引きずられていくことになる。
万由子の能力は、周囲の人が失念している記憶を、映像として
読み取ることができるものだ。
この“能力”の設定は、本書において大変重要であり、賢明な手段である。

万由子が、事件を能力により、解決へと導く様は…もう、ただただ、お見事でした。
単純に恩田女史の文章が上手いだけなのかもしれないが。フフフ

泰山教授と万由子は、倫子の息子である高槻秒氏と共に、
遺品の絵画の中の4作品を、母の遺言(メモ)に沿って、
指定された倫子の知人たちへ譲渡するため、会いに行く。
25年前に彼女を殺害した犯人は、この4人の中に存在するのか? それとも・・・
登場人物全てに疑いの目を向けながらも、読みやすさからスラスラ進んでいき
あっという間にエピローグ…。
深い恐怖心に支配されつつ、読了です。
ミステリィのようなホラーのような、ファンタジーでもある!
なかなか面白い作品だった。

結末は…賛否両論あるようだ。 賛否…分かる気がする。
でも、このラストは上手い!   私は納得です。

何せとっかかりが、「人の生まれ変わり」だもん。ね、ミステリィじゃない(笑)
なのに、最後はミステリィ。そう、ちゃんとミステリィなんだもんね。

本書は、舞台背景が晩夏なので、
夏場に読んだら涼しくなれて一石二鳥なのではないか…。
真冬の深夜には、ちと寒々しすぎた。
かえって恐怖が増長してしまい、身に沁みました(苦笑)

最後に本書の中で、高槻倫子が言っていたセリフを。

「あたしは、あたしが憎む人たちに捧げて絵を描いているの。そのためだけよ。
 あたしが将来誰かに絵をあげるとすれば、それはあたしが憎む人にだけ。」

愛することと、憎むこと、表裏一体なのかもしれない。
人を憎まずに、いつまでも愛することができたら…きっと幸せだと思う。
大好きだった友人を、好きだから故に、憎くなる。 
───そんな複雑な感情を抱いた経験、誰にでも一度くらい、あるのではないか。
もちろん私も、少なからず経験している…。

おまけ。
恩田氏はこの作品について「本格ミステリーを書こうと思ったのに、
奇妙な話になってしまった。本格への道は険しく遠い。」と、おっしゃっていた。アハハ


私の中での恩田女史、最近はハズレなしだ!
 
恩田作品、次は、何を読もうか・・・・・・。
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by merrygoround515 | 2007-01-28 22:44 | Book