読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『もつれっぱなし』 井上夢人

もつれっぱなし
井上 夢人 / / 講談社
ISBN : 4062753626
スコア選択: ※※※※





読みながら、はっきり&くっきりした情景で、
作中の人物たちを想像できる。
このはっきりとした楽しさは「会話」という
この作風ならでは?じゃないかな。

本書、どこを捲っても、会話。  
会話以外の記述が、一切ない。 全ての会話が、自然。 
無駄な装飾や脚色がない。いたって普通。
はっきり言うと、展開や結末は…残念ながら
読めてしまうものが多い。 
でも、でもね、 
「ちぇっやっぱりな~」とは、ならない。
思ったとおりなのだが、それでイイのだ。\_(・ω・`*)ココ重要!

リアルな会話がもたらす驚きと、不思議な現実感は… 
お見事です。 あっぱれ!!
あっという間に読めてしまうので、移動の合間や空き時間にでも、
ツマンデみてください。
会話という技法は、この後味を味わうために存在するのかもしれない。
後味は、最高です。

テーマは「証明」 
“宇宙人”“四十四年後”“呪い”“狼男”“幽霊”“嘘” 全6篇。
一組の男女間の会話から、味わい深~い「検証」を、ご堪能ください。

「 宇宙人の証明 」
  婚期にさしかかっているであろうカップルの会話。
  彼女は宇宙人を助けたのだそうだ。
  宇宙人の話題から、結婚に関する話への
  持って行き方や駆け引きが、笑える。
  なかなか頭の回転の速いカップルだ。  
  しかし、宇宙人がナメクジには、驚いた(笑)

「 四十四年後の証明 」
  切ない。涙もろいので(苦笑)ポロっと、一滴流してしまった。(^^;
  十四歳の少女と二十四歳の男性の電話の会話。 
  彼女は、未来から四十四年前の祖父へ電話をかけているのだ。 
  何故会話だけで、こうも現実的に表現できるのか…
  内容は、ちょっと勘ぐれば読めてしまう。
  でも…後から後から唸ってしまった。

「 呪いの証明 」
  職場の上司の死について、部下の女性とその彼との会話。
  彼女は上司を「呪い殺した」と言う。
  彼は「事故死」を証明しようとするのだが…。
  二人の独白を聞いているうちに、
  やはり先は読めてしまったのだが。
  面白いので、構わない。(笑)
  
「 狼男の証明 」
  男性アイドル歌手と、その女性マネージャーの会話。
  彼は、満月の夜のコンサートを中止にできないかと言い出す。
  なかなか理由を話さなかったが、問い詰められ、
  狼男に変身するからだと切り出す。
  その後のマネージャーの女性の強さに、コレが「女の力!」と、
  感銘してしまった。
  このラストは、個人的に好き。読ませるね~。  
  「狼男」本当にいたらすごいなぁ~(笑)  

「 幽霊の証明 」
  大学生のカップルの会話。
  私は個人的にこれが一番のお気に入り(笑)
  彼の部屋を訪ね、事故死したと、告白する彼女。
  そんな彼女に対して、
  様々な話術で「生きている」ことを証明しようとする彼。
  この彼の捲し立てる話し方が、私のツボでした。
  結末は読めてしまうが、イイ。分かったって、面白い。 
  またこの終わり方が、実にイイ!
  
「 嘘の証明 」
  女子高生と教師の会話。
  会話を存分に楽しめるのは、このラストが一番かな。
  今までの5篇とトーンが違った。
  この結末だから、私はこの教師に違和感を感じたのだと納得。 
  上手いですね。
  〆としても、ストーリー的にも、見事に大とりを飾った作品。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-03-26 11:26 | Book