読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『哀愁的東京』 重松 清  過去を振り返りたくなる・・・

哀愁的東京
重松 清 / / 角川書店
ISBN : 4043646046
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帯に
 これが―― 。
 僕が出会い、見送ってきた「東京」。
 生きる哀しみを引き受けた
 おとなのための“絵のない絵本” 

とあった。
その通りだった。

人間の寂しさを描いた、大人のための絵本でした。

80年代の東京を背景にした9つの物語。
連作長編という仕様だが
一冊で一遍の小説と言ってイイと思う。

主人公、進藤宏40歳。
18歳で上京し、フリーライターを稼業としている
元・絵本作家(自称)である。

5年前、妻は娘を連れて、アメリカへ。
母子はボストン在住。  そう、別居中。
随所に中年の一人暮らしの寂しさも満載。(哀)

進藤が絵本作家として最後に出版し、
栄誉ある賞を受賞した作品『パパといっしょに』が
9つの物語全てのベースになっている。

9つの出会いそれぞれに『パパといっしょに』が絡み
出会った人が全員、満身創痍の人生を歩んでいる。
進藤自身の人生も垣間見ながら…
人間の持つ、強さも弱さも余すことなく描かれている。

全体的に物静かに、どちらかというと陰な雰囲気の作品。
読み方によっては、登場人物たちに向かって
エールを送り続ける人もいるだろう。
でも大半は、進藤の人生を我が身にリンクさせ…
どっぷり寂しさと切なさに身を投じると思う。
だが、重松作品の凄いところは
「私の方がまだましかも…」と思わせておきながら
実は、「そんなことはないんだぞ!」
と、最後には訴えてくるものがあるところだ。
でも、決して空しくはない。

最初から最後まで、寂しさに溢れる作品だが
最後には前向きな姿勢に胸を打たれた。

この作品の最終章は、派手さはないが、
とても感動的。


作中、唯一編集者のシマちゃんだけは違った。
出版社入社二年目のぽっちゃりしたお嬢様。
人生の終わりを迎える大人たちの中で
彼女の屈託のない明るさは、本書の中でキラキラと
光り輝いていた。 とてもステキでした。


最後に、シマちゃんが進藤に提案した心理テストを。
ルールは簡単!
「ボウ」と読む漢字を思いついた順に5つ書き出すのだ。
「帽」や「棒」はメジャーだから省くんだって。

四十前後のサラリーマンテストで多かったのが
「防」「忙」「乏」の三字。
いまの生活を守って、毎日毎日忙しく働いて、
でも貧乏なの。というのがシマちゃんの解釈だ。

ちなみに、シマちゃんは「冒」「望」「呆」の三字。
彼女の解釈はこうなるらしい(笑)

「部長の反対を押し切るというリスクを冒して、
 毎月、かすかな望みを持って仕事場を訪ねて、
 なーんにも進んでないのを知って呆然とする…
 って意味じゃないですか?」

シマちゃん、最高です。
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by merrygoround515 | 2007-06-15 11:15 | Book