読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『出口のない海』 横山 秀夫  「回天」大きいんだ…

出口のない海 (講談社文庫)
横山 秀夫 / / 講談社
ISBN : 4062754622
スコア選択: ★★★★★





基本的に、戦争物はあまり読みたくない。  
だが…。
著者の描く戦争が、どんなものなのか・・・ 
新刊を追っている作家さんでもあり、
やはり読んでみたい気持ちが強く、
結局、単行本刊行当時、読んだ作品。
 
読む決意は、大正解だった。


映画化されたため、あらすじは省略します。
(私は、主人公に海老蔵のイメージを持てません)


映画はともかく、小説が戦争を描くとき、
そこに悲しみのドラマだけが浮き上がるのは、嫌いだ。
戦争を利用しただけなのではないか? 
何故かやたらと陳腐に感じてしまう。
しかし、本書は違った。 
声高に戦争を非難するわけではなく、
かといって
お涙頂戴の月並みなドラマ仕立てでもなく、
変なあざとさも、なかった。
並木浩二という男の半生を、真摯に描いていていた。

野球という、
青春と若者の象徴のようなスポーツと、
「回天」という、海の特攻兵器。
戦争の“陰”を表すものを対比させたところが、
この作品のうまさの一つではないだろうか。

誰もが知る、ラヴェルの「ボレロ」。
戦争に、この音楽を合わせるとは…思わなかった。
ひっそりと始まり、ラストにクライマックスを迎えるこの音楽は、
特攻隊として命を散らした人たちの、
人生そのもののようでもある…。
なんて効果的なのだろうか。上手いですね~。

小学校の音楽室で、オルガンによって奏でられた「ボレロ」を、
並木はどんな想いで聞いたのだろうか。
おそらく彼は、
特攻隊のはかなさを連想したのではなく、
自由の素晴らしさを思い、
また生きる躍動を感じたに違いない。
私はそう信じたい。

魔球がミットに吸い込まれる瞬間が、
この音楽のクライマックスに相応しい。


予想外だったのが、回天の大きさ。
2m前後だと思っていたが、いやはや大きい。
14.75mもあったんだ……。
人間魚雷「回天」  脱出装置なし。   合掌
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by merrygoround515 | 2007-08-17 08:50 | Book