読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『アクシデンタル・ツーリスト』アン・タイラー

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アクシデンタル・ツーリスト (Hayakawa Novels)
アン タイラー / / 早川書房
スコア選択: ★★★★★
















この作品は、
私の好きなR.B.パーカーのタッチと似ていることに気付きました。
再読して、本当によかった。  \^○^/

という訳で、やっと再読、終わりました。
アン・タイラーは、私が古今東西で一、二を争う好きな作家♡
本書、文章はとても読みやすくてサラッとしています。 
あっという間に読了でしたし^^;
なのに不思議。 しっかりと臨場感が得られるの。
一つ一つのシーンがくっきりと浮かび上がり、ハッとさせられるフレーズが多々ある。
そしてじんわりと心に残るの。 魔法に掛かったみたい(笑)

この作品は、映画化されています。(観ていませんが^^ゞ)
それに、アン・タイラーにしては…ちょっとシリアスな出来事があるのです。
(邦題「偶然の旅行者」主演:ウィリアム・ハート、ジーナ・デイヴィス)。

主人公、メイコン・リアリーは、ある日20年連れ添った妻のサラと別居します。
彼らは1年ほど前、一人息子のイーサン(12歳)を
バーガーショップに入った強盗の銃撃で亡くしていました。
2人はずっとその喪失感に耐えてきた。  だが、その耐え方には違いがありました。

メイコンは、几帳面であまり感情を露わにしたりは、しないタイプです。
感情をはっきり表現して欲しいと好むサラには、
とても冷たく写り、物足りなさを感じさせていました。
ある時、サラは、メイコンに対し、息子の死後の態度を罵ります。
「あなたがあの子を愛してたのはわかってる。
 でも、わたしほどは愛してなかった。
 あの子の死をもってしても、
 あなたは見も心も引き裂かれるような思いになることはなかった。
 あの子の死をあなたが嘆き悲しんだことは、わかってる。
 でも、あなたの経験のしかたには、なんというか、
 どこか抑制されたところがあるのよ。
 それが愛であれ悲しみであれなんであれ。」
しかし、メイコンは傷ついていたんです。サラよりずっと深く・・・。

メイコンの仕事は、
ビジネスマン用の旅行ガイドブック「アクシデンタル・ツーリスト」(やむなき旅人)を書くこと。
妻に出て行かれたメイコンは、ガイドブック執筆のため、時折旅に出るほかは、
ほとんど人と接しなくなっていきました。

飼い犬エドワード(イーサンが可愛がっていたのです)の世話に疲れたメイコンは
犬の調教師として雇った、ミュリエルという、風変わりな若い女性と知り合います。
そして、その彼女との出会いが、メイコンを変えて行くのです。
中年のメイコンに対し、ミュリエルは若くてとても個性的です。
だが、楽天的でサラよりも破天荒に見えるミュリエルも、人生で傷を負っていました。
結婚に失敗し、体の弱い幼い息子を、一人で抱えていたのです。

メイコンはそんなミュリエルを意識し始め、次第に惹かれていきます。
でも必死で惹かれまいとするの。その反面、彼女といると不思議と安らぐ自分もいたり・・・。
その微妙な心理が、とてもリアルに描かれています。 素晴らしいわ。
これこそが、恋愛の姿なのね!としみじみ思いましたもの。

そんな中、ちょっとしたトラブルから脚を折ってしまったメイコンは、飼い犬のエドワードと
兄妹たちの住む家に転がり込みます。
このメイコンを含む四人兄妹は、奔放な母に捨てられ、厳格な祖父母の元に育ったため
自分達だけの、なんと言うか独特な世界を持っているの(要はかなり変わり者^^;)。
それ故なのか、二人の兄も離婚を経験。
しっかり者だけど、やっぱり変わってる(笑)妹が、家族と地域の人々(主にお年寄り)の
面倒をみています。


メイコンは人生に疲れ、ミュリエルに語ります。
「毎日ぼくはもう立ち直っていい頃だと自分に言い聞かせてる。
 みんながぼくにそれを期待してるのがわかるから。
 みんな昔は同情を示してくれた。
 でも今はちがう。今は息子の名前も口にしない。
 みんなはぼくはもう人生を再出発させていい頃だと思ってる。
 でも、どうしたことか、ぼくは逆にどんどん悪くなってしまってる。
                  (略)
 サラとは互いに傷つけ合うことしかできなかった。
 このことは自分たちのありのままの姿を
 ぼくたちに見せてくれたような気がする。
 いかにぼくたちは、互いにかけ離れた人間なのかということを。
 でも、残念ながら、
 ぼくたちはそもそも互いにかけ離れていたから結婚したのだ。」と。

今の自分は誰からもかけ離れてしまったと嘆くメイコンを、
ミュリエルは支えます。

やがて二人は、一緒に暮らし始めます。
メイコンはミュリエルの息子のアレクサンダーに、
家の修理の仕方を教え、ジーンズを履かせるのです。 
(この子、アレルギー体質で、やせぽっちで、いじめられっ子なの;;)

メイコンは思います・・・。
「これでまた自分の人生は危ういものになった。
 これでまた核戦争と地球の未来について心配しなければならなくなった。
 イーサンが生まれたあと、しばしばとらわれた、
 誰にも言えないうしろめたい思いにまたとらわれた 
 ”今から自分はもう完全に幸福にはなれない”」

そんなある日、
別居中の妻サラがメイコンの前に現れ、もう一度やり直したいと告げるのです…。
メイコンは、自分の優柔不断さから、決断というものをしてこなかったことに気づく。
そして最後に下した彼の決断とは?

こう書くと、なんかシリアスっぽいですが、チガーウ(-_-)ノノ  
基本、物凄~く面白いんです。  
ユーモアとペーソスに満ち溢れていますから。(((*≧艸≦)ププ…ッ!

彼がどんな人生を選ぶことになるのか、気になった方は、是非読んで下さい!


◆ワシントン・ポスト紙より
「美しく、熱く、悲しいくらいに感動的で、そして元気の出る小説…
 常識的に考えて、これ以上の小説はまず望めないだろう」


生きることって、滑稽だし、みじめだけど、なんて素晴らしいの!
人生、なかなか思うようにはいかないけれど、でもやっぱり、悪くないよね―。
と思える素敵な小説です。



と、薦めながら恐縮ですが…本書絶版でした。 。・゚・(*ノД`*)・゚・。 
文春文庫からアン・タイラーの作品がTo;6冊刊行されましたが、 (単行本は全て絶版)
残念ながら本書は、版元が違うこともあって、6冊の中に入っておりません;;
もし、古本屋さんで目にした際は、どうか手にしてみてください。m(_ _)m
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by merrygoround515 | 2007-12-12 15:18 | Book