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by merrygoround515

『その日のまえに』 重松清

その日のまえに
重松 清 / / 文藝春秋
ISBN : 4163242104
スコア選択: ★★★★★




本書は全7編からなる連作短編集。 其々のTLは

・ひこうき雲
・朝日のあたる家
・潮騒
・ヒア・カムズ・ザ・サン
・その日のまえに
・その日
・その日のあとで


全てに共通するテーマは「死」。
最初から4つ目までの短編は、それぞれ独立した物語ですが
表題作を含む「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の
3つの短編は一つの物語になっています。
また、前4つ目までの作中人物が、絶妙な再登場をします。

「その日」は、大切な人が死んでしまう日のこと。
実のところ、比較的陳腐になりがちな「死」というテーマだが
重松氏は、とても穏やかながら、しっかりと描ききっています。

私は「ヒア・カムズ・ザ・サン」に入り込んでしまった。
母と息子という設定だからかもしれないが。
オカンとカオルくんの関係が素晴らしすぎて。
「癌」に侵された母、そのことを間接的に知った息子…
それぞれの心情にどっぷり嵌り、感涙。
二人の行く末が気になっていたが
「その日のあとで」で、答えが用意されていました。

この登場人物の繋がりには、一切の無理がない。
自然に物語に溶け込んでいる。 上手すぎる。
繋がりだけでも、感涙できた。
花火大会が、ステキ! 鳥肌が立ったほど。


ラスト3編は、
癌に侵された妻と、やがて残される夫と子どもの「その日」。

(病院からの)悲しい知らせは美しい曲で受けたいと、
携帯電話の着信音を「カノン」に設定するシーンがあり、ジーン。
子ども達には「その日」ギリギリまで、病状は話さないと
夫婦で約束をする。 理由が…
「子どもから希望を奪う権利は、親にもないと思う」 ジーン。
そして「その日」、母の容態を話すため、息子達を前に…
溜め息をつきビールを一口飲む父に、長男健哉が
「酒なんか飲むなよ!」   ズキン。
この一言に、心打たれました。

確かに、子どもはどんなに辛いことがあっても、アルコールには
逃げられない。 受け止めて成長する。


重松氏の描く世界は、「現実」なのではないかな。


本書は「悲しい物語」だったね…などと単純に
通り過ぎるだけの作品ではない、と思う。でも…
殆どの人が、泣いて終ってしまうのでしょうね。
語り継ぐべき名作だと、私は思う。


私の中の「重松ベスト3」に入りました(笑)。
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by merrygoround515 | 2007-10-19 14:50 | Book