読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『ここがホームシック・レストラン』 アン・タイラー

ここがホームシック・レストラン
アン タイラー / / 文藝春秋
ISBN : 4167218534
スコア選択: ★★★★

(『Dinner at the Homesick Restaurant』 by ANNE TYLER/中野恵津子=訳)



私が初めて彼女の作品に出会ったのが、本書。 (刊行直後の単行本でした)
海外作品は、ミステリィばかりを読み漁っていた学生時代。
社会人になり、とある編集者より贈られたのが、本書。
海外ミステリィ以外は、あまり興味がなかったので、そのまま積ん読の予定だった。
だが、社内で本書をいただいた話をすると、皆が一様にして
「すぐに読んだ方がイイ。その編集者とは、ほぼ毎週顔を合わせるんだから」
そうか・・・。そうだよね。  
次回お会いする時には、お礼と感想言わなければならないのか・・・。

翌日、しぶしぶ手にしました。 あっという間に読了。
魅せられてしまった。  

そして今、その頃の思い出と共に再度手にした本書。 一読後・・・
魅せられた、とか陳腐な言葉では言い表すことが出来ない感情が
後から後から胸に沸き起こっている。
アン・タイラー、嗚呼、あなたはなんて素晴らしい作家なのだろう。
後、三作品所有しているので、全て再読することにします。



さて、物語を簡単に言うと、
訪問販売セールスマンの父親がある日、養いきれなくなった家庭を捨てた。
そして残された家族が、父親の不在を敢然と無視して、それぞれの人生をそれぞれが
自分なりに生きていく・・・という家族物語である。

アメリカ・ボルティモアのカルヴァー通りのテラスハウスに住んでいるタルー家の話。
一家は4人家族。母親のパール、長男コーディ、次男のエズラ、長女のジェニーだ。

物語は、一人一人の視点で進んでいきます。
そこで語られるのは、それぞれの思惑であり、描かれるのは単なる日常である。
ただそれだけなのに、さすがアン・タイラーだ。 グイグイ惹き付けて放さないのだ。

レストランでレジ係をし、家族を支えるパールは、常に怒りっぽい(笑)。
長男は、問題児。 弟は、優しいが、引っ込み思案。 何かに付け、豪快なことをやらかす長女。
と、それぞれが様々な問題を抱え、反発しあい、この家族は、なかなか上手くいかない。
少しずつ内部がズレている家族なのだ。  社会的にはごくごくまともなのだけれど、ね。

やがて三人の子どもは成長します。
コーディは、大学卒業後、実業家になり成功する。 ジェニーは医学部へ進学。 
残ったエズラは母親の反対を押し切って、地元のレストランで働くようになる。
そしてコックのルースに恋をする・・・。


この一家の 「家族」 それぞれの生き様は、きっと絵空事なんかではなく・・・
現実に、ありふれた「家族」の姿なんだと思う。 
「家族」 ゆえの鬱陶しさ、 憎しみ、 愛情、 激しいぶつかり合い・・・ 
それでも「家族」なくして生きてはいけないのが、現実なんだね。  何故だろう・・・?

家族というのは、本当に大変だ。
 
初読は、独身時代だったが、当時と今では私を取り巻く環境が全く違うように、感想も違う。
再読した今、私は家族を持ち、母となっているのだ。 
共感し過ぎるほどの共感。 随処に共鳴。  そして・・・唸るばかりだ。

家族は、決して簡単な単位ではないよね。
欠点だらけの人間が親になり、子供を育てていかなければならないことから始まるのだから。
慌しく駆け抜ける人生が、たとえ波乱万丈であったとしても・・・ 
家族と共に生きることに、己の生があるのだと感じる。   
決して、すべてを捨てて、一人で生きるわけにはいかない。
また家族と離れて暮していても、切り離せるものではないのだ。
 「家族」 は 「家族」 なのだから。


「家族」に起こる、このジレンマは・・・共感しやすいテーマなのではないでしょうか。
家族が愛おしくて、たまらなくなりました。 


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by merrygoround515 | 2007-11-22 14:38 | Book