読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『失踪HOLIDAY』 乙一

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)
乙一 / / 角川書店
ISBN : 4044253013
スコア選択: ★★★





表題作の他『失はれる物語』にも収録されていた「しあわせは子猫のかたち」の二編。
(誰が何と言おうと)メインは表題作だと思うので、そちらの感想を残します。
そうだ、あとがきをね、著者自身が書いています。 いやぁ~面白いですよ。
本編と併せてご堪能くださいませ(笑)

ひと言で表すなら、キュートな14歳のドタバタ劇。
短編としては、ちょっとページ数が長めかな。 中編作でいいのかも。
お金持ちのお嬢様モノにありがちな、家出&誘拐をベースにした物語です。
でもそこは乙一氏!そこいらの作品とは、もちろん、違います(笑)。

主人公のナオ、中学2年生は、6歳まで母一人子一人の貧乏生活を送っていた。
ところが、ナオが小学校へ上がる前年、母が資産家の社長と再婚をしたのです!
これを機に、ナオは名家の令嬢へ転身を遂げました(笑)。

このナオ、自由奔放で怖いもの知らず。チャレンジ精神旺盛でなかなか頭もいい。
彼女は日々、可能な限りの贅を尽くしている。勝手気ままな女王様なのだ。
その理由が面白い。
実はナオの母親は、再婚から二年で病死してしまったのだ。
当時小学二年生のナオ、彼女は自分の立場を瞬時に理解していた。
「わたしは追い出されるに違いない。この家の誰とも血が繋がっていないし、
パパとママが夫婦だったのは、たった二年間だ。すぐにどこかの施設に入れられるんだ。
ならば・・・ 追い出されるまでの間、贅沢のかぎりをつくそう!」 って見解なの(笑)。

笑えたのが、
追い出されたら食い繋ぐためにと、押入れにお菓子を箱買いしてキープしているところ。
お菓子ですよ、お菓子。 な~んて可愛いの(笑)
しかし、ナオの心情とは裏腹に、追い出されることなどなく、6年が経過しました(笑)。
そして、ナオは中学2年生、となる訳です。

ここからは、読んだ人のお楽しみです、ね。
でも、まぁもう少しだけ。

ナオのパパ(血の繋がりはない)が、再婚をするの。
それもナオのお姉さんと見られるほどの若い女性と。 名前は、キョウコさん。
もちろん、
二人が仲良く暮せるはずもなく、かといって日々諍いが繰り返されるわけでもなく、
しばらくは、まぁ、どちらかと言うと、静かに過ぎていきました。

このね、キョウコさんとナオの心理描写。タマリマセン!
コミカルで毒舌。 ナオは果敢で無敵な14歳です!キョウコさんに負けるはずがないわ。
が、その裏に潜む、若者の未熟で不安な精神面が、チラホラ。 実に面白かった。

いろいろな思いが積もりに積もって、ナオはキョウコと一戦交え、家出をします。
でも・・・二日後には家へ戻ることに。 (((*≧艸≦)ププ…ッ!
敷地内には、母屋(豪邸ね)と離れが建っているのですが、ナオが帰宅したとき、
母屋は無人だったの。 使用人と話そうと考え、離れへ足を運びました。
そして、
ナオは家出を続行中ということにして、住み込みの使用人・楠木クニコが生活している、
三畳間に転がり込むことになります。

ここから物語は、ジェットコースター的な速さで進み、気付けば読了(笑)。

クニコに対するナオのセリフや心情が、転げまわりたくなるほど面白かった。
まだ14歳のくせに、生意気で、小憎たらしいったらありゃしない(笑)
ハイスピードで駆け抜けて終わりかな?と思っていたので、
急ブレーキをかけることになり、危うく事故を起しそうだったわ(爆)
ラストは、意外にもしっくり。  私、乙一くんのオモウツボでしたorz

小・中学生の頃、何とはなしに自分の居場所を求めていること…
誰にでも経験があるのではないかな。
ナオとクニコさんには、穏やかで幸せに暮して欲しいな、と願っています。


よく、考えてみると…14歳の頃の私は、ナオよりもっと生意気だったかも・・・。
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by merrygoround515 | 2007-11-28 10:38 | Book