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by merrygoround515

『黄昏の百合の骨』 恩田陸 (三月シリーズ)

黄昏の百合の骨 (講談社文庫 お 83-5)
恩田 陸 / / 講談社
ISBN : 4062756943
スコア選択: ★★★★





●先に関連付けをしておこう。(本書をより楽しむために、です)
 『図書館の海』 に収録されている「睡蓮」に登場した、
 理瀬の2人の従兄弟、稔と亘が出てきます。
 また、『麦の海に沈む果実』は、本書の直前の物語なので是が非でも、
 そちらから先にお読みください。



『麦の海に沈む果実』 の続編。 主人公水野理瀬、その後のエピソード。
舞台は、理瀬が、以前一年ほど一緒に住んでいた祖母の屋敷。

さて、今回理瀬がこのお屋敷に住む理由ですが、
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」 
という祖母の遺言があったから。この祖母、実は謎の死を遂げています。
祖母の急死により、イギリス留学から帰国し、遺言に従った理瀬。

長崎県に位置するこの屋敷は 「白百合荘」 と呼ばれ、
庭や建物内に、百合の花が絶えることがない。
理瀬の他に、血の繋がらない叔母姉妹、梨南子と梨耶子が住み着いており、
地域住民からは 「魔女の館」 と呼ばれている。
理瀬の周りにいる親族以外の面々は、
すぐ近くに住むクラスメイト・脇坂朋子、朋子の弟・慎二。脇坂家の飼い猫・ココ。
朋子とは幼馴染の勝村雅雪。 雅雪の親友・田丸賢一。 の4人(と一匹)。

理瀬は、祖母の残した「ジュピター」とは何なのかを考えながら、屋敷の秘密を探ります。
そして物語は、
慎二に、白百合荘にいると殺される、と忠告されることから、ミステリィが始まります。 
一体誰に?

理瀬の敵は誰なのか、何が危険なのか、正体が掴めないまま、次々と奇妙なことが起こります。
いやぁ~謎解き過程もなかなかですが、登場人物たちを取り巻くドラマがまた、魅力的でした。
理瀬と稔、理瀬と亘、理瀬と雅雪、そして理瀬とヨハン、それぞれの物語がチラホラ。
それぞれの間で揺れ動く感情やお互いの関係に、物凄~くドキドキさせられました。
もちろん、朋子と亘、朋子と賢一も、なかなかですねぇ。

謎が解けたときは、「ええーっ?!」と意外に思うとともに、「そっちかぁ」と、残念な気持ちが。
犯人や犯行に関して、理瀬もまだ全てが見通せるわけではないのだなぁ、と・・・
少しだけ、複雑な気持ちになりました(苦笑)。


本書は、読み出すと途中で止められません。
ですから、最低でも2時間の時間的余裕をもって、手にしてください。
読後、恩田ワールドからしばらく抜けなくなりますよ。
本書で三月シリーズも残すところ後2冊… 読破するまでに新作でないかしら~。
次は『黒と茶の幻想』(上・下)。  実際、順番は逆らしいのですが…
本書の後でも(先でも)どちらでもOK!と、ご指導いただいたもので。へへ;




 ▼   ▽   ▼   ▽   ▼   ▽   ▼   ▽   ▼   ▽   ▼  



私は高校生となった理瀬が大好きです。 もうね~魅了されまくっています(笑)。

見えない敵と、孤独に闘うヒロイン・理瀬。
将来、暗黒の人生が運命付けられ、自らもそれを望む、理瀬。
16歳という不安定な時期にも係わらず、大人びて、悪女の風格を持つ、理瀬。
未来のため、少女な己や清らかな心と、完全に決別をしなければならない、理瀬。
残忍にはなり切れない、だが強い芯を持ち、次第に悪の頭角を現し始めた、理瀬。
本書では、とにもかくにも、理瀬から溢れてくる “闘う覚悟” が全面にドーン! 
たまりませーん。 格好イイわぁ。

でも、そうは言っても理瀬はまだ16歳。
自分でもそのことは十分分かっている。まだ一人では生きていけないことのもどかしさ。
その 「大人と少女の狭間」で揺れる、モヤモヤ~とした感情というか…イラつきが…
心のアンバランスさというか・・・とてもリアルでした。

これからノワールな世界にどっぷりつかっていく理瀬だけに…
理瀬と雅雪の場面には、ホッとすると同時に、何て言うか、切なく感じてしまって
二度と戻れない人生の現実を、見てしまった気がしました。
雅雪がね、ちょっと黎二と似ているでしょ。 なもので、グッときてしまった。


さて、理瀬は今後どんな風に成長するのでしょうか・・・?
見守りたい。  見届けたい。   そしてもう一度、理瀬に会いたい。
理瀬のようなダークヒーローが、私には必要なの!(笑)




恩田さん、書いてくださいね!お願いしますよー! アハハ
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by merrygoround515 | 2007-11-29 12:14 | Book