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by merrygoround515

『メリーゴーランド』 荻原 浩

メリーゴーランド (新潮文庫)
荻原 浩 / / 新潮社
ISBN : 4101230331
スコア選択: ★★★★






「宮仕え小説」と言われるだけあり、仕事上のドタバタ劇が、実にリアルで面白い。
でも…単なる宮仕えというのではなく、本書には違った雰囲気も存在している。
子供に誇れる仕事をしようと、必死に頑張る父親の物語ではないのだろうか。
また、主人公の家族は、一番のよき理解者だ。 
そういう意味からすると、この作品は、「お父さん奮闘記」なのではないだろうか。

家電メーカー(過労死続出の職場)を退社し、故郷へUターンしたのが9年前。
市役所に勤めながら妻と二人の子供と平凡に暮らす主人公・遠野啓一36歳。
ある日、市のお荷物テーマパーク「アテネ村」(三セク)の経営を建て直すため、
新設された「アテネ村再建対策室」へと異動になる。

ここは、やる気のない室長を始めとし、ろくでもない人間ばかりが集まっていた。
自分の立場だけが大切な市長を説き伏せなくてはならないことも、
お偉方へ胡麻スリのためだけに、毎年行われるイベントの開催も、
とにかく、面倒事の責任も含めて、一切を啓一に丸投げされてしまうのだ。
係長ながら、超赤字テーマパークの再建プロジェクトを一任され、
愛する妻と子どものために、と孤軍奮闘する啓一。    
なかなかどうして頑張ります!  働くパパ、必読の一冊だね。

大変なのは、アテネ村の理事たちの面々。
彼らは、事勿れ主義、前例重視の市役所OBばかりなのだ。
副理事長がきっぱりと言う  「前例が無い」。 (><;

「前例がない」 のだ。
だから誰もが、過去の書類をそのまま書き写した新規計画書をつくる。
「前例がない」 のだから
公共設備の設計は、昔の設計書をひっぱり出して焼き直ししたものばかりを作成する。
そうだ。
確かにそのほうが手間はかからない。しかも、批判されることもないのだ。
しかし、それでは、このプロジェクトは頓挫してしまう・・・。

面白かった。
啓一を取り巻く個性的な脇役陣、楽しめます!
とにかく、テンポのよさに引きずられて、何が起こっても逆に爽快(笑)。
硬直した組織の、上意下達というシステムが、最後までがっちり描かれる中、
啓一、頑張れ! と、まるで家族の一員になったような気持ちで応援している自分。
エールを贈りながら、痛快なストーリー展開に翻弄され、楽しみながらラスト手前。
ここまでは本当にあっという間に進みます・・・。

でも、啓一の子供や家族とともに奮闘して終るのかとおもいきや、
それで終らないのが、萩原氏なんですよね。

ラスト。
山の上、満天の星空の下。
ちょっと切ないけれど、とても美しいシーンだわ。




さて、積読になりつつある 『明日の記憶』 そろそろいってみようかなぁ。
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by merrygoround515 | 2007-12-06 09:03 | Book