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読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『あおい』 西加奈子

あおい (小学館文庫 に 17-1)
西 加奈子 / / 小学館
ISBN : 4094081739
スコア選択: ★★★






『さくら』 が、文庫落ちになったので、買いに行きました。
すると、同じイラストレーターらしき表紙の 『あおい』 が並んでいました。
見ると、著者のデビュー作とのこと。 こちらも購入です(笑)。
順序良く、デビュー作から読むことにしました。



表題作「あおい」と「サムのこと」
文庫化で収録された「空心町深夜2時」の三編。
西さんお初なのですが、驚きました。 
「率直」というモノが、ここに存在していたから。

しかし、どの物語も、取り留めがない。  
何か…基本線が足りない。 ストーリーが、ないのだ。
思考で行間を埋めるのかな? そんな作品でした。
ひとり言がそのまま文章になり、延々と続くのです。 
それも、関西弁で。 ふふふ
また、女性ならではなのか、支離滅裂この上ない。 
私的には、とても上手いと思うのですが、
どうやら賛否両論のようですね。
そうは言っても、語り口は絶妙です。 
とにかく、青春グラフィティなんです(笑)
ううむ?  
でもきっと、男性には理解不可能かもしれないなぁ。


「あおい」は、
27才スナック勤務の「あたし」と、
3才年下のダメ学生「カザマ(風間)」くんの
同棲生活をベースにした、日常の物語。

主人公「あたし=さっちゃん」は、
過去にレイプの経験があったり、
カザマくんは、当初職場の親友が好きになった人だったり、
スナックで知り合った年上の男性を、ママから奪ってみたり。
いろいろ多彩で、波乱万丈なのです。
が、何故だろう?
危機感や切羽詰った感じや、罪悪感や悲壮感が、全くない(苦笑)。
話し言葉で綴られると、
ただ聞き役に徹していた感じが残るだけなのね。
「あおい」というタイトルの意味が、
終盤で分かるのだが、なるほど。って感じただけ(苦笑)。

でも、登場人物はしっかりキャラ立ちしている。
スナックのママ、
40代になっても若い女には意地を張るし、見栄っ張り。
一番強烈なのは、みいちゃん。無口で無愛想な書店員さんだ。
ゆくゆくは、作家になるつもりらしい。
日々辞書をひいて意味を覚えている。
「自分の中に言葉を溜め込みたい。」そうだ。 
頑張れ!! アハハ
また彼女、巨漢なの。 食欲は、物凄い (><;
ある時、あたしがみいちゃんに
「痩せようと思ったことないの?」 と聞いた。
「書き出したら、一気に痩せると思うから。」
「なんで?」
「小説書くってゆうのは、自分を切り売りすることやろ。」
思わず「上手い!」って思ったのは私だけだろうか…?
みいちゃんの書く、小説が読みたい。


「サムのこと」は
亡くなった仲間、伊藤剛、通称サムのお通夜のこと。
サムとの思い出を語ったり、エピソードを話したりする。
ただ、それだけ。
ここでの彼らの姿は、現代っ子の実像なのかなぁ。
もうちょっと、しゃきっとしよーぜぃ!


「空心町深夜2時」は
ちょっと事故って、JAFを呼んだ。
その間にラーメンを食べている。
大阪から東京へ経つ彼女と見送る彼。 
別れを迎えるカップルの話。
全く、取り留めがない・・・。



さて、次は『さくら』。
期待してもいいのだろうか? まっ気楽にいってみます(笑)
by merrygoround515 | 2007-12-18 10:28 | Book