読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『顔のない敵』 石持浅海

顔のない敵 (カッパ・ノベルス)
石持 浅海 / / 光文社
ISBN : 4334076394
スコア選択: ★★★







1993年、夏。カンボジア、バッタンバン州。地雷除去NGOのスタッフ・坂田洋は、
同僚のアネット・マクヒューと、対人地雷の除去作業をつづけていた。
突然の爆発音が、カンボジアの荒れ地に轟く。誰かが、地雷を踏んだのだ!
現場に駆けつけた坂田とアネットは、頭部を半分吹き飛ばされたチュオン・トックの
無残な死体に、言葉を失った。チュオンは、なぜ、地雷除去の済んでいない
立ち入り禁止区域に踏み入ったのか? そしてこれは、純然たる事故なのか? 
坂田の推理が、地雷禍に苦しむカンボジアの哀しい「現実」を明らかにする――。
表題作を含め、「対人地雷」をテーマにした、石持浅海の原点ともいうべきミステリー6編と、
処女作短編で編まれたファン待望の第一短編集!
(「BOOK」データベースより)

巻末の処女作を除いて、「地雷」をテーマにした短編集。全7編。


「地雷原突破」
ベルギーのイベント会場でのこと。地雷原を再現し、地雷の危険性をアピール中、
公衆の面前で一人のイベンターが地雷を踏んで亡くなった。
これは事故だったのか、それとも…。 事件を語る安楽椅子探偵もの。

「利口な地雷」
新型地雷の発表を目前に、開発会社の社内で、一人の社員が何者かに殺された。
仕掛けられた罠によって殺されたのか?それとも…。
小川一尉の「次の罠に期待していますよ」には、ゾクっとした。
新型地雷『ドリアン』のアイデアは凄い。 採用して欲しかった。

「顔のない敵」
地雷原で頭がふっとばされた死体が発見された。これは事故なのか?それとも…。
被害者の状況と地雷の本質を表すタイトルになっている。
「地雷」とは?を、明確にしている作品。 個人的には一番好きな作品。

「トラバサミ」
交通事故で亡くなった男性の部屋に、自作のトラバサミがあった。
街に仕掛けられている可能性が明らかに。「地雷」は考え方の一つとして登場するのみ。
小川一尉が語る自衛隊の未来図に、大きく頷ける。

「銃声でなく、音楽を」
対人地雷除去活動を行なうNGOの、資金集めがテーマ。
資金の援助を受けるために訪れた音響機器ブランド会社で、銃声が響く。
銃声が発生した部屋にいたのは、社長とその部下の死体だった。
社長は犯人ではないという、真実は?  “顔のない敵”が遠景として窺える。
坂田の復讐劇のベースになった事件かもしれないと考えると、実に皮肉。

「未来へ踏み出す足」
ロボットによる対人地雷除去がテーマ。
開発中のロボットの地雷除去実地試験中、過去、地雷の開発に係わっていた
一人の技術者が死体になって発見された。
ロボットが行う地雷除去方法で殺されていたのだ。 誰が、何のために?
ここまでの作品に登場したキャラも登場。総決算といった作品だ。


「暗い箱の中で」
地雷とは全く関係ない、シリーズ外作品。
地震で止まってしまったエレベーターの中で起こった殺人。
推理の数々は、なかなか読ませたが、犯人が分かり易過ぎる(苦笑)。
普通の人が日常で、簡単に殺人を犯すことが起こり得る怖さを、感じた。
著者の処女作なので、ファンなら必読でしょう。



「対人地雷」というテーマは、考えさせられることも多く、興味深いものではある。
が、ミステリィとしては…どうなのだろうか。
一見馴染みの薄いテーマと、謎解きのロジック、未来へ繋げた終わり方は、
評価できる作品だと思いますが、人物描写がねぇ…うむむ。




“NGO団体が最もやってはいけないこと。それは一般市民を非難すること。”

自分が正しいと思うこと、立派と評されることをやっていても、
何もしない、何もできない人を、決して批判してはいけないのですよね。 
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by merrygoround515 | 2008-02-04 10:04 | Book