読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『少女には向かない職業』 桜庭一樹

少女には向かない職業 (創元推理文庫 M さ 5-1)
桜庭 一樹 / / 東京創元社
ISBN : 448847201X
スコア選択: ★★★★★






「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。
 夏休みにひとり。それと、冬休みにもうひとり。」

この作品は、この最初の一行が全てなのです。
でもって、本書のテーマは完全犯罪なのです。

とは言っても、当初私は、
まさか本当に殺してるとは思いもせず、何かの比喩だと思っていた。
でも…彼女は本当に、夏休みと冬休みに一人ずつ、人を殺した。
それを知っているのは、全然親しくなかったクラスメイトの宮乃下静香だ。
本書は、葵と静香の戦いの記録、と書いてあるが、
実際は、葵の一人称なので「葵の戦い」と「殺人者の葛藤」という感じだった。

主人公・大西葵は、13歳という本当に微妙で多感な年齢。
特に女の子は、大人により近くなりつつある時期でもある。
男の子とのバランスが、最も悪いのも、この時期だ。
例えどんなに大人びても、大人の作った社会の中でしか、
生きることのできない世代の子供たち。
この時期の女の子の内面、不安定な心情、とりとめのない行動を、
著者は見事なまでに、その繊細さをも、描いている。

複雑な家庭環境、閉塞的な島での生活、母親が抱える人生。
不安定な繋がりで維持されている友人関係、アイデンティティーが、
葵の言葉によって絶妙に表現され、人間の怖さ、弱さ、悲しさが…
本書を一環して貫いている。 心にズシンとくる重さがあるんだ。

内容には触れないが、とにかく葵は人をふたり殺したんだ。
これが意味するものを、葵と一緒に悩み、考えて欲しい。

なんとも救われない話だったが、ラストシーンはなかなか。
この結末には、ちょっとホッとさせられましたね。
でも、本書… 決してミステリィじゃない! よね??



※主人公が殺人に使用した武器、"バトルアックス"。
 作中に出てくる購入先の武器屋さんのサイトはこちら ☞ 山海堂
 ホントにあったのね(笑)。
[PR]
by merrygoround515 | 2008-02-13 19:44 | Book