読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

カテゴリ:Book ( 159 )

11文字の殺人
東野 圭吾 / / 光文社
ISBN : 4334712541
スコア選択: ★★




ちょっと期待過多だった。。。


東野氏の得意とする、密室に代わるものとして、この作品では、
アリバイ・トリックが使われている。
しかし、本書のアリバイ・トリックは、それほどまでに上手いのもでは…。ないね。
全体的には、人情がメインだ。
よって、人間心理に焦点を当てた作品と言うべきかも。

第一の殺人から、最後の殺人まで、一貫して怨みを感じさせる。

事件の解決へと率先して取り組む主人公、女性推理作家は、友人の編集者と共に
亡くなった恋人の周辺から、事件を調べていく、展開だ。
犯人の動機のみならず、犯人を殺人へと追い込んだ人々の、其々の事情は、
とても上手いのだが……。 

なんか物足りない。
さらっとし過ぎていた。

残念なことに、途中でほぼ全体図が見えてしまったのだ。
もちろん、犯人も。その背景も。
私だけが、見えてしまったのだろうか。
いや、きっと、必ず他にもいるはずだ。 
  
東野氏の初期作品は、
やはり現在の作品よりも、深い感慨は与えてはくれないのかしら。

書店員オススメの、傑作!
という触れ込みに、ちょっと踊らされてしまったかな。

次は、どうしよう。
やはり、新刊にしようかなあ。

本人が最後のエッセイと断言した
『たぶん最後のご挨拶』 を、読むことにする!
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by merrygoround515 | 2007-02-02 10:29 | Book

『不安な童話』 恩田陸

不安な童話
恩田 陸 / / 新潮社
ISBN : 4101234140
スコア選択: ★★★





深夜の読了、怖かった。

人の生まれ変わりという現象が存在するのかどうかは、何とも言えない。
でも今は、あるのかもしれないと、ちょっと思う。
本書を読むまでは、考えたこともなかったが。

はっきり言って、怖かった。
25年前に殺されている女性画家の、目に見えない怨念みたいな
生への固執のようなものが・・・
(この女流画家には)一切同情も思い入れもできなかったので、
放たれた情念がただただ、恐怖だった。

恩田女史の読みやすい文章力が、怖さには負けまいと
不思議な世界に私を惹きつけ…
まんまと最後まで囚われてしまった。読者を引き込むところはさすがだ。
冒頭からズルズルと本書の世界に引き込まれた。
でも終盤、深夜の一人きりの部屋では、ちょっと後ろを振り返り、
周りを見渡したくなるような…恐怖感も。  (何度か顔をあげてしまった)

内容は、(プロローグ以後)
女流画家・高槻倫子の遺作展に、浦田泰山教授と秘書の古橋万由子が、
幼馴染の今泉俊太郎と三人で足を運んだことから、始まる。
不思議な能力を持つ、主人公の古橋万由子。
物語は彼女の目線で展開していく。

後日、高槻倫子の息子が泰山教授のもとに現れ、
万由子は思わぬ方向へと引きずられていくことになる。
万由子の能力は、周囲の人が失念している記憶を、映像として
読み取ることができるものだ。
この“能力”の設定は、本書において大変重要であり、賢明な手段である。

万由子が、事件を能力により、解決へと導く様は…もう、ただただ、お見事でした。
単純に恩田女史の文章が上手いだけなのかもしれないが。フフフ

泰山教授と万由子は、倫子の息子である高槻秒氏と共に、
遺品の絵画の中の4作品を、母の遺言(メモ)に沿って、
指定された倫子の知人たちへ譲渡するため、会いに行く。
25年前に彼女を殺害した犯人は、この4人の中に存在するのか? それとも・・・
登場人物全てに疑いの目を向けながらも、読みやすさからスラスラ進んでいき
あっという間にエピローグ…。
深い恐怖心に支配されつつ、読了です。
ミステリィのようなホラーのような、ファンタジーでもある!
なかなか面白い作品だった。

結末は…賛否両論あるようだ。 賛否…分かる気がする。
でも、このラストは上手い!   私は納得です。

何せとっかかりが、「人の生まれ変わり」だもん。ね、ミステリィじゃない(笑)
なのに、最後はミステリィ。そう、ちゃんとミステリィなんだもんね。

本書は、舞台背景が晩夏なので、
夏場に読んだら涼しくなれて一石二鳥なのではないか…。
真冬の深夜には、ちと寒々しすぎた。
かえって恐怖が増長してしまい、身に沁みました(苦笑)

最後に本書の中で、高槻倫子が言っていたセリフを。

「あたしは、あたしが憎む人たちに捧げて絵を描いているの。そのためだけよ。
 あたしが将来誰かに絵をあげるとすれば、それはあたしが憎む人にだけ。」

愛することと、憎むこと、表裏一体なのかもしれない。
人を憎まずに、いつまでも愛することができたら…きっと幸せだと思う。
大好きだった友人を、好きだから故に、憎くなる。 
───そんな複雑な感情を抱いた経験、誰にでも一度くらい、あるのではないか。
もちろん私も、少なからず経験している…。

おまけ。
恩田氏はこの作品について「本格ミステリーを書こうと思ったのに、
奇妙な話になってしまった。本格への道は険しく遠い。」と、おっしゃっていた。アハハ


私の中での恩田女史、最近はハズレなしだ!
 
恩田作品、次は、何を読もうか・・・・・・。
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by merrygoround515 | 2007-01-28 22:44 | Book
ダメ犬グー―11年+108日の物語 (幻冬舎文庫)
ごとう やすゆき / / 幻冬舎
ISBN : 4344408411
スコア選択: ★★★★★




物心ついたときから
ぼくのまわりにはいつも犬がいました。
でも、こんなにヘンな犬も、
こんなに深く接したのも、グーがはじめて。
ある日ふと、グーの話を書きたいと思いました。
                           (本文より)


犬を飼うということは、家族が増えるということ。
家族は最後まで家族。どんなことがあっても。 なにがあっても。
人と人との繋がり以上に、動物と繋がっている…。
繋がっているということが、どれほどの励みになるものなのか…
実感させられました。身震いしたほど。

犬とは言葉を交わせません。聞き分けもある程度までしか、ありません。
なのに、お互いの心と心に愛が存在し、共に労わりあい、
喜怒哀楽のすべてを共有できる。
ペットとは、まさに家族の姿そのものなのですね。
何も考えていないようで、そうでもない。
解っているような顔して、知らん顔。 まさに可愛い子供の一人。


タイトルから解るように、
11年と108日でこの世を去ったグーちゃんの実話です。
生後8ヶ月で著者のもとへやってきた、真っ黒なメス犬。
名は「グレイス」。 だが著者は、「グー」と呼びました。
その日から日常生活にすっと溶け込んだグー。
グーと著者との生活が素敵なイラストと、
まるで詩のように短く暖かい文字のエッセイで綴られています。



幸いにして我が家にもステキな番犬がいます♡
今年で5歳になる中年犬ですが。
彼と私たちの人生について、これからのことや、
ずーっと先に訪れる別れのことまで…
感情ベースにですが、学ぶことがたくさんありました。
簡潔なのに、一言一言が、ドンと心に刺さりました。



一番うれしかったのは、どんな犬も皆同じ。
家族が大好きなんだな。って、こと。
避けては通れない死への道へ、
きっと出会った時から少しずつ歩んでいっているんだね。
幸せは、人も犬も同じ。
たくさんの愛と思い出を作りながら、ずーーーっと共に歩んで行こうと思う。

私の涙が止まったころ、ダーリンが読み始めました。
本当に短いエッセイです。
早い人なら読み終わるのに20分もかかりません。
ダーリン、ティッシュ抱えていました。

ペットを飼っている方はもちろん、また飼おうと考えてらっしゃる方でも、
飼えないが、動物が好きだ、という方にも、ステキなお話です。  

是非、お薦めです。

悲しい別れに涙しますが、心はほんわかします。
あっ!電車内でお読みになるのは、あまりオススメできないかも(笑)



私は文庫で購入したので、単行本のことは解りませんが、
この文庫の左下に・・・
グーちゃんのパラパラマンガが♪ついています♡
かわいいですよ~♪
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by merrygoround515 | 2007-01-23 22:01 | Book
直観でわかる数学
畑村 洋太郎 / / 岩波書店
ISBN : 4000056794
スコア選択: ★★★★






第一回本屋大賞受賞作 『博士の愛した数式』(小川洋子著 新潮文庫)を
読んでから、大嫌いだった数学に意外にも興味が芽生え・・・購入した。
息子にも、将来必ず役に立つはず。今では家宝扱いの一冊かな。


学生時代から現在まで、全く理解出来ない数学。
(理系の方には大変失礼な言い方だが。)
生活の中でも存在感が薄~い数学。数字と一文字違うだけなのに
何故?こんなにも敬遠してしまうのだろうか・・・。

イメージ=難しい。
先入観=難しいし、解りっこないやい。
そうだ。難しいからなんだ。
言い回しも、ゴチョゴチョと並ぶ数式も。チンプンカンプンだ。
単細胞な文系人間なので、ストレートに一段階で解ることが望ましい。

なのに!そんな私が本書を読んだ後、
自分の中にも数学人としての要素があったんだ!と錯覚。
まっ、錯覚でもなんでも、すごい体験である。

とにかく、読み易い。それに尽きる。
哲学的な感覚で、数学なのに国語の講義を受けているみたいだ。
カチンコチンな数字とカタカナ言葉ではなく、なんというか…
国語式?そう、国語っぽいのだ。
畑村氏は言葉の使い方が抜群!


例えば、微分・積分。着目する概念の違いで説明。
財布の中に5000円
二週間後まで入金予定はない。そこでの着目は?
   1)財布からいくら出ていくか?
   2)財布の中にいくらあるのか?
の2点のみ。

この 1)が微分  ≪どれだけ変わっているか に着目≫
    2)が積分  ≪全部でどれだけあるか に着目≫


なんて単純明快なんだ!
微分とは「部分をみれば全体がわかる」  だけのことなんだと。
もっと早く出会いたかった。


大袈裟な気持ちで数学をもう一度一からやり直したい!という人にも、
自分は数学が好きだったんだ!って錯覚に囚われたい人まで 
それはもう、大満足!間違いなしだ。
なんせおバカな私が、満足度100%だったのだから。
興味を持たれた方は、是非ご一読ください。
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by merrygoround515 | 2007-01-22 10:21 | Book
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♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 好き。好き。大好き。♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

≪私≫と円紫さんのシリーズも、もちろん大好き♡
「時と人」シリーズの 
『スキップ』『ターン』『リセット』 も、そりゃ大好き♡

だけど・・・

一番好きなのは 『覆面作家』シリーズです♡ 
私が、所有&既読の書籍の中で、一番好きです。
多分これからもずーっと一番です。 


♡『覆面作家』シリーズ三冊まとめてご紹介♡

内容は、いたってシンプル。
主人公 新妻千秋(19歳)は新人ミステリ作家。
でありながら、名探偵
作家デビュー後、ついたペンネームが・・・
姓は「覆面」名は「作家」。世間には正体不明の設定です。
その千秋さんの人柄と生活の様子を、
担当編集者の岡部良介の目線と共に綴っている作品です。

二人は其々に日常生活を送りながら、様々な事件と遭遇します。
名探偵・千秋ワトソン役・良介、となり「謎解き」をします。

この千秋さんがね~それはそれはもう、すごいのなんのって!
いやぁ何から書いていいのか・・・

一言で言い表すと、
超・ウルトラスーパー・最上級の ≪外弁慶≫ です(笑)

日頃は、世田谷区内の大邸宅で、執事に守られながら
優雅な日常生活を送る、大富豪のご令嬢・千秋(慎ましやかな美女)。

ですが、お屋敷から一歩、門外へ出た、千秋は・・・
全く違う人間になってしまうのです。 ∴∵ゞ(゚ε゚ )ブッ

あっもちろん、可憐な容姿はそのまま。絶世の美女
180度、人が変わるの。行動、口調、やること成すこと・・・
お嬢様では有り得ない… 変貌ぶりが凄まじい~(><;

まぁ見事に二つの個性を発揮しています。
面白そうでしょ?  面白いんですよぉ~。

この千秋さんの二面性に便乗してなのか、
岡部良介は一卵性の双子です。因みに弟。(笑)
全く同じ容姿で、警視庁の刑事が、兄・優介。 
この兄弟、実は家族は二人きり。

毎度毎度、千秋さんに翻弄されっぱなしで…
常に優柔不断な良介ですが、兄・優介は違います
「俺は、温厚篤実、公明正大、頭脳明晰、岡部優介だ。」
(本文より) ねっ。

でも、千秋さんほどの性格の差はみられませんが。
彼ら兄弟の性格の違いも、個性的で楽しめます!
それに二人とも美男子なんですよ。(〃▽〃)

面白ついで(?)に、もう一つ。小ネタを。 アハハ
千秋さんの良介の呼び方です。
◆屋敷内=「岡部さん」(のみ)   
◆屋敷外=「リョースケ」や「おまえ」

とにかくおしとやかで、おっとりとして、清楚で、愛らしい千秋さん。
そのお嬢様が、喋り方は別人になり、
その上、天才格闘家でもあり・・・。  
蹴るわ 殴るわ 投げ飛ばすわ・・・   すんごいオテンバ娘♪

兄弟共々技の餌食になってしまったほど。 
怒ると見境、無くなるようです。 (≧∇≦)
当のお嬢様本人は、
この性格の異変を全くコントロールできないのだそうだ。ありゃま。 

そんな「二人の千秋さん」の魅力に、どんどん惹かれていく良介♡
良介自身には、どちらの千秋さんも、千秋さんなんですよ♡
共に事件を解決していくうち、二人の距離も少しずつ近づき・・
終盤、危険な事件に巻き込まれますが・・・
実に、ほんわかします。 癒されますね~ふふふ。


一冊ごと、それぞれ三編の短編で構成されていますが、
連作長編になっています。
千秋さんも19歳から20歳に成長します。(〃▽〃)
全ての事件の内容は、ヒミツです。 (^0^ヘュ-オッホホ♪

この作品の事件、読んでいるとね、
自分にも解決できるのではないか?って気持ちになりますよ。
挑戦したくなる、雰囲気があるんです。 
天才!千秋さんに勝負しましょう! とは言いませんが、
推理する楽しみも(現実味に溢れているので)
充分に、味わえると思います。  
勝敗は抜きにして、あまり難しくはない、
日常的な推理を是非、楽しんでみてください。 ファイト!!


全体を通して、楽しくてちょっとだけ切なくて、
もちろん、北村氏ですから!考えさせられるところもあり、深いです。
そうです!北村作品ですもの、読み応え充分です。保証します

是非、未読の方は、ご堪能ください。
既読の方は、そうですね~
もう一度、千秋さん♡に会って、惚れ惚れしましょう。



  ★補足★
シリーズです。順番にお読みください。
(何処から読んでも構いませんが面白みは半減します)

1)◆『覆面作家は二人いる』 (角川文庫・解説 宮部みゆき女史)
2)◆『覆面作家の愛の歌』  (角川文庫・解説 大多和伴彦氏)
3)◆『覆面作家の夢の家』  (角川文庫・解説 有栖川有栖氏)
   ~~~and~~~
◆『覆面作家は二人いる』全4巻(美濃みずほ・角川アスカコミック)

ストーリーとしては、①~③で完結しています。
④巻は、①~③刊行後、3年位経過してから刊行されました。
④巻の内容は、原作にはありません。
但し、北村氏のアドバイスを受けての刊行だったそうです。

欲を言えばね、単行本も文庫本も、
版元が違うノベルズさえも、挿画は高野文子さんなんだもの
コミックも高野女史が・・・よかったなぁ。
きっと無理だったのでしょうね。 (〃´o`)=3

本書たち、最高傑作でございます。
気分が優れない時、体調が芳しくない時、
ハイテンションな時、ハッピーな時、などなど。
喜怒哀楽のあらゆる状態を万全にカバーしてくれる!
という効能が、刷り込まれているのです。本当よ♪ アハハ

「一家に1セット」です (三冊で1セットよ)


実は私、主人公の千秋さんよりも、
良介が所属する編集部の先輩
“左近幸恵女史”が一番好きなんです。
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by merrygoround515 | 2007-01-21 15:08 | Book
世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)
歌野 晶午 / / 角川書店
ISBN : 4043595042
スコア選択: ★★★





読み方を間違えてしまった。

物語をなかなか素直に読もうとしなくなっている・・・
自分が全て悪かったのですが。
そう、ひねくれ者の私が悪いんです。
島田荘司氏の推薦で本格一期生としてデビューされた方ですよ。
スリリングなストーリーやあっと驚かされる展開を、
もちろん期待するじゃないですか。
予備知識が、歌野氏ってことだけだったのも災いしました。

この作品、深読みも頭を働かせながら読み進むのも・・・
NGです。
素直な気持ち、素直な心で、純粋に、猜疑心を抱かず、
読み進んでいくことが絶対にベスト。


物語は、一つの誘拐殺人事件から
すぐに連続誘拐殺人事件へ突き進みます。
犯人である可能性を息子に見出した父親。
その父親の息子に対する疑惑と苦悩。
疑惑が確信へと変わり、父親の精神状態は崩壊寸前。
父親の(というか人間の)内面を
見事に描ききっていると思う。エグイ作品です。

だからあれこれ考えたりせず…
わくわくしながら読むべきだったのです。
今更、後悔しても仕方ありませんが。

作品自体は、凝った語りで、身に詰まされ、
同情したり、共感を抱きながら・・・
グイグイ読まされました。
好きです。出会えてよかった!と思っています。
だからこそ、後悔しているの。  
普通に読みたかった・・・。

父親の人間性を表した箇所引用します。

『誘拐事件は、ごく近所で発生したとはいえ、
 しょせん他人の不幸でしかない。』

『世の中で何が発生しようと、
 たとえロシアの原子力発電所がメルトダウンしようと、
 いやそんなに遠くなくていい、
 東北の核燃料施設で放射能漏れが発生しようと、
 その汚染が直接わが家に届かないかぎり、
 自分はきっと平和を感じているに違いない。』

その通り。
みんな自分が、自分の家族が、自分を取り巻く家庭環境が、
何よりも可愛いし、大切!
この父親の本音いいですよ。
何処にでもいそうな普通の父親なのですが。

で、ラストです。
結構、危険かも。 
真っ二つに分かれそうですね。

ちなみに、私の感想は・・・
読了直後は・・
「このラストはダメだわ。イヤ。気に入らない。」
一夜明けた時点では・・・
「有りなのかも。これがベストなのかも。」(笑)


父親の深層心理、ドギツイ描写には、胸が打たれました。
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by merrygoround515 | 2007-01-19 23:30 | Book
ひとがた流し
北村 薫 / / 朝日新聞社
スコア選択: ★★★★






私は、北村氏のファンだ。 それも大ファンである。
この作品は、第136回直木賞の候補になった作品だ。
候補に挙がった段階で、初受賞だ!と信じて止まなかった。
16日の発表を待てず、前日から前夜祭だ!と盛り上がり、呑みまくった。
結果は、ご周知の通り、納得の行かない結果だ。
阿刀田氏、ファンだったのに。
やけ酒と、いく気にもなれず、ふて寝した。寝覚めはもちろん悪かった。


本書は作年に読了しているが、北村氏の作品を紹介したく…
話題の本書を、取り上げることにした。
大ファンであるということには、一つ欠点がある。
他の方がイマイチと感じる箇所も、イイと思ってしまうのだ。
よって、この作品で私と同じ評価を、感じる方は少ないかも知れない。


北村氏といえばミステリィ作家だが、この作品はミステリィではない。
<日常の謎>=ミステリィを書き続けた著者が、
本書では「日常」だけを綴ってる作品だ。

あくまで筆致は淡々としています。
前半の平穏?漂う取り止めのなさには、疑問の声もあるでしょう。
でも、作中に散りばめられたエピソードの数々を、
一つ一つ丹念に読み進むと、心の深い部分を、
ちょこっと刺激するような、優しい感動があります。
小さな出来事も、忘れていた記憶も、みな未来へと繋がっている……。

悪いが『世界の中心で愛をさけぶ』あたりとは、比較にならない。
嘘だと思うのなら、読んでみてください。
また「セカチュー」でも「いま会い」でも泣かなかった方や本では泣けない方、
そんな方にこそ、お薦めしたい。



内容は、
TV局のアナウンサー千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻になった美々、
40代を向かえ「桐箪笥の街」とその周辺で暮らす、幼馴染の三人の女性たちが
軸となり、その日常が描かれた物語。
ストーリーはいたって簡単、というかストレート。
だが、その中身は決して簡単でも、単純なものでもない。
この作品で、生きるということの本質を、少なからず、感じることができた。


以下、印象的な箇所をいくつか引用する。

『本当に小さな、次の日になったら忘れちゃうようなことだよね。──でも、
 そんなちっぽけな思い出が、どういうわけか、いつまでも残ったりする。
 ──小さなことの積み重ねが、生きてくってことだよね。
 そういう記憶のかけらみたいなものを共有するのが、要するに、共に生き
 たってことだよね。──早い話が、玲ちゃんがおばあさんになって、
 台所でさばの味噌煮を食べる時、ふっと、わたしのこと思い出してくれるかも
 知れない。その時わたしが、短い時間でも、そこに蘇るんだ。──
 ≪どう、味噌煮、おいしい?≫って』


『──何行かにまとめられるテーマがあって、それをそのまま伝えたければ、
 説明すればいい。そこに、絵や写真や音楽なんて≪表現≫はいらない筈だよ。
 ──そうなると我々の伝えたいのは、意図じゃなくて、そこから生まれた表現
 そのものになる。それこそが、人間にとって必要なものだ』


『千波は、よくいっていました≪やり直せないことが好きだ≫って』
『生きていると、消しゴムの使えないことばっかりじゃないですか。
 わたしなんかだと、気に病んじゃいます。ついつい後ろ向きになる。
 でも、千波は違った。たった一度しか通れない道を行くのが、好きな人でした』           

『子供ってさ、親に何かをさせてくれるだけで、
 ──そういう相手になってくれるだけで、もう十分、恩返ししてるんだけどね、』


『……女同士だったから、ただの友達で、……会わない時には、
 一年以上も会わなかった。……でも、今、考えれば、そんな時でも、
 あなたが……この世のどこかに、確かにいてくれるってことが、
 ずっと……わたしの、支えだった』


上記内の≪表現≫に、小説を加えると、それはそのまま北村氏の理念だろう。
という意見を聞いた。
まさに、その通り!北村氏の理念、本書で証明している。

日常生活の中で、こんな言葉たちは… 言えるものではない。
素敵な言葉だ。憧れさえ、感じてしまう。
このような、語り手の、まるで吐息のような会話で時間を追っていく、
優しい物語が本書だ。

優しさに包まれた中「死」や「不治の病」といった、重いテーマを扱った本書。
ですが、私は、爽やかな気分が得らた。
何故か、元気をもらえた…私だけなのだろうか?
北村氏の優しい、優しい物語。 是非、多くの方に読んでいただきたい。



■ 追 記
本書の装丁は、おーなり由子さん。
ご存知の方が多いとは思うが、北村氏とおーなり由子さんは、
『月の砂漠をさばさばと』(新潮社・文庫有り)に次いで、二度目のコンビだ。

月の砂漠をさばさばと
おーなり 由子 / / 新潮社
スコア選択: ★★★★





『月の砂漠をさばさばと』は、9歳のさきちゃんとお母さんの物語。
全13話の連作短編集。
9歳だったさきちゃんが、本書では高校生だ。 そして、やっぱり猫好きだった。
こちらを未読の方は、どうぞ本書と併せてお楽しみください。
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by merrygoround515 | 2007-01-19 08:26 | Book
図書室の海
恩田 陸 / / 新潮社
スコア選択: ★★★





『夜のピクニック』読後、気になっていた短篇集。
昨夜時間がとれたので、一気に読んだ。
恩田さんらしい語り口調が、私にはとても心地よかった。

全10篇からなる本書は、全体の雰囲気がSFっぽかった。好きである。


「春よ、こい」  のっけから好きだ。古今和歌集を引用するところがイイ。
   ことしより春知りそむる桜花  ちるといふ事かならはざらなん
   春ごとに花のさかりはありなめど あひみん事はいのちなりけり
   春ごとに花のさかりはありなめど あひみん事はいのちなりけり
   けふのみと春をおもはぬ時だにも  立つことやすき花のかげかは
   ことしより春知りそむる桜花  ちるといふ事はならはざらなん

「茶色の小瓶」  
   どちらの女性の気持も…実によく解る(解っていいのか?)
   看護師という職業に対するイメージが、肉体労働的なものだけだったが、
   知的な内面も窺い知れた。(看護師の方々は、尊敬しています。)
   知的な三保典子の、心理的な歪みは、恐ろしくもあるが…

「イサオ・オサリヴァンを捜して」
   これは、結末が先にヨメテシマッタ。
   でも、描写の美しさが情景を捉えられてイイ。

「睡蓮」   
   全体を通して流れる空気が、好きな作品である。
   小学二年生の理瀬の心の成長記録ってとこかな。
   異母兄弟の次兄への憧れから嫉妬、葛藤。 
   幼いながらも、女女していて面白い。
   ラストはもう少しミステリィがくるのかとと思ったが・・・
   案外、シンプルにまとまっていた。

「ある映画の記憶」  上手い。
   33歳の男性の過去の記憶に纏わるエピソードと、その真実。 
   読んでみてほしい。

「ピクニックの準備」  
   果たして、『夜ピク』を未読の読者に興味が持てるのか・・・
   『夜ピク』を既読のため、上手く言えないが…。
   著者があとがきで記しているようにこの先品は、『夜ピク』の
   予告編として一日で書いたものだ。 短編作としてボツになっている。

「国境の南」  
   何となく既読感。何故なのか、考えてみた。
   『出口のない海』だ!何処となく似た雰囲気がある。喫茶店という場所、と
   内容にも若干の共通点があるし。

「オデュッセイア」 ココロコ・・・アイデアは面白いが、途中から飽きてしまった。

「図書室の海」  
  『六番目の小夜子』の番外編としての書き下ろし。
  関根秋の姉、関根夏、高校三年生のエピソード。目の付け何処がさすが!

「ノスタルジア」 
  「SFマガジン」の女性作家ホラー特集のための作品。
  いつまでも続く、エンドレスな恐怖が、なんとも怖かった。


恩田さんは、これからも追いつづけ、応援したい作家の一人だ。
   
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by merrygoround515 | 2007-01-19 01:41 | Book
風が強く吹いている
三浦 しをん / / 新潮社
ISBN : 4104541044
スコア選択: ★★★★★





何から書き出したらいいのか。悩むなぁ。
本書は、前評判も上々!
なにより『まほろ駅前多田便利軒』で第135回直木賞を受賞された作家の
受賞第一作ですものね。

すでに大勢の方から絶賛を受けている本書。
私は昨年、Blog仲間の記事で本書の作品概要を知り、購入しました。
12月の暮れも押し迫った頃、
やっと時間を作り読み終えることができました。\^○^/
青春小説の醍醐味は、本書以外では味わえません。

そんな訳で、今年の箱根駅伝は、本書から多大な影響を受けた。
もう受けまくり。ハハハ
実家を出て一人暮らしを初めて以来、現在まで…
○十年ぶりの興奮を経験してしまった。
レビュー残しておこうと思います( v^-゜)イエィ♪


よし!先ずは…専門家の紹介文から。


    「速く」ではなく「強く」。目指せ!箱根駅伝!

    箱根の山は蜃気楼ではない。
    襷(たすき)をつないで上がっていける、
    俺たちなら。

    才能に恵まれ、走ることを愛しながら、
    走ることから見放されかけていた
    清瀬灰二と蔵原走(かける)。奇跡のような
    出会いから、二人は無謀にも陸上と
    かけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。
    たった十人で。それぞれの
    「頂点」をめざして……。

    長距離を走る(=生きる)ために
    必要な真の強さを謳い上げた
    書き下ろし1200枚! 

         (「帯」紹介文より)


そうなんです。
たった十人で、関東大学陸上競技最高峰の「箱根駅伝」出場を目指すんです。
言い換えれば、この物語は、ただそれだけなんです。
ありえない。って?  マンガか?って? 突っ込みの声が聞こえる。
ただの夢物語ではないんですよ。
これこそ、本好きが読みたい物語。小説はこうでなくっちゃ。
何せ、ばっちり現実味が感じられるんだから。        

読んでください。

ストーリーそのものにリアリティはないけれど、
あるかも?と思わせるリアル感は100%じゃないかな。
確かに、現実では1年で箱根を闘えるチームなど作れやしない。
でも、 そう!「でも」なんですよ~!
例えば…
この十人全員、竹青荘というボロアパート(通称「アオタケ」)に住んでいて、
アパートの大家が監督。
マジで~?   ね、凄い設定でしょ?  ふふふ。    
まっ、読んでください。
ここで繰り広げられる灰二の夢物語が…現実になっていくんです! 

三人称で綴られた小説ですが、駅伝という素材は完璧。
一人一人の描き方が素晴らしーい!
本書後半200頁の箱根は…圧倒される。 
始めのころの言い回しのウザさを吹き飛ばしました。(笑)

主役の弱小チームだけでなく、
常連の強豪校で宿命を背負う選手も描かれ、
選手一人一人の走る姿の繊細な描かれ方には…
何度も込み上げてくる涙を、一度も止めることができなかった。
私はとても涙腺が弱いので、泣き読みは慣れているのですが。
すぐには止まらなかった。
もしかしたら…
既読の皆さんの中には、涙しなかった方もいるかもしれませんが。^^;
(堪えたんですね!)

ストーリーは単純、だが面白い。面白すぎる。
それはメンバー十人のキャラクターが、物語を何十倍にも面白くさせているから。
主要人物の個性豊かな面々が、これでもか~!これならどうだ!
と、多少濃いキャラまで揃っている。
実にマンガチック♪   三浦しをん!凄い筆力ですね。
一人一人に、見事めり込んでしまった。
一人一人が描かれた装丁がまたイイんですね~!   
もう~たまらないわ。 
本当に×100~! 素晴らしい。
(読後の私は、例え本書が¥2000円以上だったとしても
                 手元に欲しい本!の一冊になりました)

装丁のイラストで書かれたメンバーのセリフを、紹介します。
イラスト、シビレますぅ~~♡
簡単なキャラの特徴も書こうか、と迷いましたが…止めておきます。  
本書を読んでください。

*往路 
 1区「王子」         「鬼だよ。あんた」  
 2区「ムサ」         「黒人が速いというのは偏見です」 
 3区「ジョータ」       「モテるんだね?」  
 4区「ジョージ」       「モテるんでしょ?」  
 5区「神童」         「親も喜ぶと思うんだ」  
*復路 
 6区「ユキ」         「やるからには狙う」  
 7区「ニコチャン」      「ひとりじゃ襷はつなげねぇよ」  
 8区「キング」        「就職安泰ってホントだな?」  
 9区「走」          「すぐに行きます。待っててください」  
 10区「ハイジ」        「君たちに頂点を見せてやる」  


この作品は、ドラマ化されそうですよね。
これほどまでに感動的なラストは、映像にも◎だわ。
映画化ってこともあるかな。 
「夜ピク」さえドラマじゃなく、映画になったんですものねぇ~。

最後はまるで寛政大学の一員となって、
箱根を一緒に走っているような興奮を覚えました。
大袈裟でもなんでもなく、一度引き込まれたら、もうあっという間。 
読後は感動で胸がいっぱいです。
恐るべし!三浦しをんの筆力。
これほどまでに真っ直ぐな青春小説に出会ったのは久しぶりです。


既読の方が圧倒的に多いと思うので、
ならば!と、勝手にキャストなどを…考えてみた(笑)

●走    →  小池徹平くん
●ハイジ  →  竜也さんだったら面白いかも♡
           でも、ちょっと違うかなぁ~。小出恵介くんかな。
(双子の)
●ジョータとジョージ  → 斉藤?兄弟
                 (タッチの実写をやった人。名前は分かりません)
●ムサ   →  モグスさん(山梨学院大)他に黒人は…浮かびません;;
●神童   →  成宮?なんとかくん(笑)名前まではちょっと。
           もしくは、森本亮冶くん
●ユキ   →  ヤマピー(但し、メガネ必須) 
●ニコチャン  →  弓削智久くん(太ってはいないが…)
              または、塚本高史くん。  
●キング  →  ドランクドラゴンの塚地さん。 
           役者さんなら、山田孝之くん。
●王子  →  TVの電車男の人。
          チビノリダーだった子(名前は知りません)


皆さんはどうでしょうか?



明日から三連休♡
どうやら、冬の寒い日ばかりが続くようですね。  雪よ降れ~(笑)
本書を未読の方は、是非!手にとって、箱根駅伝にご参加を!
熱く、熱く、そして暑くなって、
寒さを吹き飛ばしてみてはいかがですか? 
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by merrygoround515 | 2007-01-19 01:28 | Book