読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

<   2007年 12月 ( 18 )   > この月の画像一覧

『L change the WorLd』  M

L change the WorLd
M / / 集英社
ISBN : 4087712109
スコア選択: ★★★(+0.5)





2008年2月の公開に先駆け、小説版が刊行されました。
発売日に購入。
昨夜手にとり、先ずは、表紙を捲って現れた口絵に・・・うっとり♡
で、そのまま一気読みだった(笑)

映画版 『DEATH NOTE』 のラストには、空白の23日間が存在する。
月との決着をつけてから、Lのラストシーンに至るまでの期間だ。
『DEATH NOTE』 では描かれなかった、この空白の23日間の物語。

ノンストップのミステリィアクションって感じ。
いや、決してミステリィではないなぁ。
残念ながら、文章は安っぽい(森氏ではなかった)。
伏線も予想範囲が多く、あまり上手くはなかったが、
早い展開が、リズミカルで、どんどん読み進めた。
後半になって気付かされ、(ノ´▽`)ノオオオオッ♪と感動したことも。
宿敵天才・月はいないものの、複数のキャラクターの
様々な思惑を入り交じえ、なかなか読み応えがあり、楽しめた。
Lが、あのひ弱なLが、バリバリにアクションやっていました(笑)。
これ、ある意味すごいですよねぇ~。
カポエラよ、カポエラ。(これって、OKネタよね?)

本書には、Lの言葉、Lの想い、Lの人間性が溢れています。
『L change the WorLd』 には、何ていうか優しさがある。
Lを演じた松山くんが、何かで言っていたが、
本書は正に、 “LがLを救う物語” でした。 
Lをね、後ろからこう、ギュっとしたい。

「子どもたちが笑顔を失わない未来をつくる。」 人類の課題だわ。

また、ラストは、ジーンとくる。 
Lと月は、今頃仲良く笑いながら、チェスでも楽しんでいるかもしれない。
 

この内容は、映画も期待できますね!



■Death Note Spin off L change the WorLd Trailer
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-27 14:24 | Book
ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎 / / 新潮社
ISBN : 4104596035
スコア選択: ★★★★★





仙台で、新首相の凱旋パレードが行われた。
パレードの最中に、金田新首相は、
爆弾を搭載したラジコンヘリの爆発によって暗殺された。
翌日、一人の男性が容疑者として警察から緊急発表された。
指名手配犯は、青柳雅春。
その男は、二年前にアイドル歌手を強盗事件から救い、
英雄視された人物だった。
メディアによると青柳は、首相暗殺後も
いくつかの事件を起こして逃亡中だという。
青柳と学生時代に交際していた、主婦の樋口晴子は、
容疑者像としてメディアで取り立たされ、語られる男性と、
自分の知っている元彼・青柳とが重ならず、違和感を覚える。
果たして、事件の真相はどこにあるのか―― 書き下ろし傑作長編大作。


※未読の方、これから手にする方へ。
BGMに、ビートルズの 『ABBEY ROAD』 をご用意ください。
お持ちで無い方は、レンタル屋さんへ、レッツ Go-!
(読後、物凄く聴きたくなります。聴けない状態には、 耐えられないかも・・・)


第一部 『事件のはじまり』  プロローグ
第二部 『事件の視聴者』  事件を客観的に見た、一部始終…
第三部 『事件から二十年後』 事件の疑惑…
第四部 『事件』  当事者(青柳)目線で追う事件の真相・・・
第五部 『事件から三ヶ月後』      事件の後日談・エピローグ

全五部の構成。
時間は前後していますが、とにかくこの構成が素晴らしいのだ。
スピード感抜群の文章で、一気に読まされる。
首相殺害の濡れ衣をきせられた青柳雅春が、
見えない巨大な陰謀と戦いながら、逃げる。 ひたすら逃げる。
その緊迫感とリーダビリティたるや否や!
1000枚・500ページという長さを、感じるヒマもなかった。

とにかくこの作品は、どこを読んでも非の打ちどころがない。
途轍もなく面白い! ただただ素晴らしい。  
読後感が、これまた素晴らしい。 
文頭からラストまで、正に「完璧」だ。
伊坂氏の 「現時点での集大成」 である、という 帯の言葉に、
決して嘘はない。


とにかく読んでおくべき、読まねばならない、作品です。
伊坂ファンではなくても、是非読んでください。 
伊坂ファンなら、迷わず買いましょう。 
彼に出会えて、良かった。 
今、心からそう思っています。

それにしても、
「痴漢は死ね」という言葉に、泣かされるとは思わなかった。
「たいへんよくできました」は、しばらくは目にしたくない。
如何せん、瞬時に泣ける。


2007年「マイベスト1」、本書に決定。



【雑記】
21世紀に入ってからの直木賞ですが、
文藝春秋11冊、新潮社2冊、角川書店1冊、マガジンハウス1冊、
前回の幻冬舎1冊です。
そろそろ直木賞は文春の広報だ!と、世間の認知が広がってもおかしくない。
本書は間違いなく直木賞モノです。新潮社並びに伊坂氏に栄光あれ!
本書の完成度は、ずば抜けていますもの、ね!
期待しています。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-21 14:32 | Book

『さくら』 西加奈子

さくら (小学館文庫 に 17-2)
西 加奈子 / / 小学館
ISBN : 4094082271
スコア選択: ★★★★





陶器のように美しい。 性格は明るく、常に笑顔を絶やさない。
その全身で家族を愛する母。
優しくてハンサムで働き者。無口だが確実に一家を支える存在の父。
生まれながらにして、ヒーロー。誰もが憧れ、誰からも慕われる。
人生の全てが「はじめレジェンド」になった兄「一」。
生まれながらの美女。誰もが必ず立ち止まり、振り返る超美形。
美しい顔とは裏腹に、
異常な喧嘩っ早さと野生児の感覚を持つ妹「ミキ(美貴)」。
「長谷川君の弟」「長谷川さんのお兄ちゃん」と言われ育った僕「薫」。
そして、
愛すべき上品な女の子(笑)タワシ好きな雑種犬の「サクラ」。
長谷川一家5人と1匹家族。

「僕(薫)」が、兄妹それぞれの際立った個性を、
時にユーモラスに、時にシリアスに、
しかし、いたって軽い口調で淡々と語り続ける物語。

まるで“幸せの魔法”にかけられていたような、
幸せだった5人と1匹の家族が・・・
兄の交通事故から、一変する・・・。


前半は、この家族が、
どれほどまでに幸せで、どんなに輝いていて、
どんなに眩しい家族だったかを…
これでもか、これでもか!と、読者にぶつけてくる。
兎に角、受け止めるのが、やっとこさだった(苦笑)。 
三人の子どもの成長過程はとても分かり易く、
アップテンポで爽快に綴られる。
父と母のラブラブぶりを惜しみなく披露し、
「サクラ」の発する言葉を交えながら、
まるで、そう・・・ 
映画を観ているような気持ちになった。 

どの登場人物にも、感情移入はできない。なのに、なのに、だ。
この西加奈子という作家の生み出す「魂」のような、
目に見えない強靭なモノに惹き付けられ、
この一家が、まるで存在している錯覚に陥る。
弾むような語り口に惹き付けられながら読み進むと、
「比喩」の魔法に驚かされる。そう、斬新な「比喩」の所為なのだ。 
次から次へと端的で、リズミカルで、決して装飾過多にはならない
美しい表現に気付けば魅了され、そしてはっきり実像化されていく。

中盤からは、
はっきり言って、一つの作品の中に詰め込むテーマが多すぎる。
只でさえ、彼らにはいろいろあるというのに…。
そしてこの終盤にきて、長男「一」が自殺した。 
そう言えばそうだったんだ…。 
と、我に返らされ、最終章では、泣きっぱなしだった。

作者が本書に籠めた「思い」の深さに見事、KO。

両親からとびっきりの愛情を受けて育った子どもは、
その愛されているという力が、やがて確信に代わり、
己の強さになるのだと感じた。
「家族愛」
それはどんな不幸をも乗り越えられる、唯一なのかもしれない。
本書ではペットではなく、家族である「サクラ」。
誰よりも冷静に愛情を理解していたのは「サクラ」かも知れないね。
「うふふ。」              合掌。


読後、実家の父や義母さん、
その他親戚付き合いをしている人からの「着信音」… 
「Top of the World」 になりました。
「うふふ。」



次は 『きいろいゾウ』にします。この作品は、絵本も欲しいなぁ。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-20 12:11 | Book

『あおい』 西加奈子

あおい (小学館文庫 に 17-1)
西 加奈子 / / 小学館
ISBN : 4094081739
スコア選択: ★★★






『さくら』 が、文庫落ちになったので、買いに行きました。
すると、同じイラストレーターらしき表紙の 『あおい』 が並んでいました。
見ると、著者のデビュー作とのこと。 こちらも購入です(笑)。
順序良く、デビュー作から読むことにしました。



表題作「あおい」と「サムのこと」
文庫化で収録された「空心町深夜2時」の三編。
西さんお初なのですが、驚きました。 
「率直」というモノが、ここに存在していたから。

しかし、どの物語も、取り留めがない。  
何か…基本線が足りない。 ストーリーが、ないのだ。
思考で行間を埋めるのかな? そんな作品でした。
ひとり言がそのまま文章になり、延々と続くのです。 
それも、関西弁で。 ふふふ
また、女性ならではなのか、支離滅裂この上ない。 
私的には、とても上手いと思うのですが、
どうやら賛否両論のようですね。
そうは言っても、語り口は絶妙です。 
とにかく、青春グラフィティなんです(笑)
ううむ?  
でもきっと、男性には理解不可能かもしれないなぁ。


「あおい」は、
27才スナック勤務の「あたし」と、
3才年下のダメ学生「カザマ(風間)」くんの
同棲生活をベースにした、日常の物語。

主人公「あたし=さっちゃん」は、
過去にレイプの経験があったり、
カザマくんは、当初職場の親友が好きになった人だったり、
スナックで知り合った年上の男性を、ママから奪ってみたり。
いろいろ多彩で、波乱万丈なのです。
が、何故だろう?
危機感や切羽詰った感じや、罪悪感や悲壮感が、全くない(苦笑)。
話し言葉で綴られると、
ただ聞き役に徹していた感じが残るだけなのね。
「あおい」というタイトルの意味が、
終盤で分かるのだが、なるほど。って感じただけ(苦笑)。

でも、登場人物はしっかりキャラ立ちしている。
スナックのママ、
40代になっても若い女には意地を張るし、見栄っ張り。
一番強烈なのは、みいちゃん。無口で無愛想な書店員さんだ。
ゆくゆくは、作家になるつもりらしい。
日々辞書をひいて意味を覚えている。
「自分の中に言葉を溜め込みたい。」そうだ。 
頑張れ!! アハハ
また彼女、巨漢なの。 食欲は、物凄い (><;
ある時、あたしがみいちゃんに
「痩せようと思ったことないの?」 と聞いた。
「書き出したら、一気に痩せると思うから。」
「なんで?」
「小説書くってゆうのは、自分を切り売りすることやろ。」
思わず「上手い!」って思ったのは私だけだろうか…?
みいちゃんの書く、小説が読みたい。


「サムのこと」は
亡くなった仲間、伊藤剛、通称サムのお通夜のこと。
サムとの思い出を語ったり、エピソードを話したりする。
ただ、それだけ。
ここでの彼らの姿は、現代っ子の実像なのかなぁ。
もうちょっと、しゃきっとしよーぜぃ!


「空心町深夜2時」は
ちょっと事故って、JAFを呼んだ。
その間にラーメンを食べている。
大阪から東京へ経つ彼女と見送る彼。 
別れを迎えるカップルの話。
全く、取り留めがない・・・。



さて、次は『さくら』。
期待してもいいのだろうか? まっ気楽にいってみます(笑)
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-18 10:28 | Book
QED―百人一首の呪 (講談社ノベルス)
高田 崇史 / / 講談社
ISBN : 4061820443
スコア選択: ★★★







ずっと気になっていたこのシリーズ。
やっと一作目を読むことができた(笑)。
いやはや驚いたことに、
NOVELSの解説は、愛する北村薫氏ではないか!
文庫化されているが、
NOVELSを積読しておいて本当によかった。 アハハ
本書は、第9回メフィスト賞受賞作。


希代の天才・藤原定家が残した百人一首。
その一枚を握りしめて、会社社長は惨殺された。
残された札はダイイング・メッセージなのか?
関係者のアリバイは証明され、事件は不可能犯罪の様相を呈す。
だが、百人一首に封印された華麗なる謎が解けたとき、
事件は、戦慄の真相を地上に現す!  メフィスト賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
                           


テーマは 「諸法無我」
殺人事件にからめて、(絡まっては、いないかな?)
とにかく百人一首に隠された謎をといていく物語。 
う~ん、ひと言で言うならば、ただそれだけ。

あるルールに沿って、
百人一首を曼荼羅図のように並べていくと、
怨霊にぶちあたるという結果が、実に面白い。
日本の歴史の裏に流れる怨霊という題材、
予想外に私のツボにはまった。

百人一首は大好きだ。
だが、歴史背景を考えたことは、一度も無かった。
これほどまでに奥が深いものだったとは。 
圧巻。(百人一首にね) 
次々と語られる歌の背景や、作者や定家との繋がりがまた凄い。
作中の暗号ネタは、百人一首暗号研究者、
織田正吉著『絢爛たる暗号―百人一首の謎を解く』の
引き写しばかりらしいが、
配列については、高田氏の見解。  上手いですね。
でもちょっと、冗長すぎる。 
私の低い知能では、この長い薀蓄を一読で理解することは無理;;
でも、楽しむことは出来た。  

殺人事件も、ちゃんと明らかになるのだが…
ちょっと無理があるかな?  とも感じた。
ミステリィとしては、ううむ…  大したことない。
(言っちゃった;;)
無くてもいいのでは? とまで感じたもの。
でも、百人一首の謎がメインなのだろうから、よしとしよう。  
登場人物の個性も、いたって典型的。突飛さも何もなかったが…
まぁ、許容範囲ってことにしておこう。  アハハ 

なんか、偉そうな感想になってしまったが、
決して面白くなかったわけでも、嫌いなわけでもない。
薀蓄を楽しませながら読ませるところ、魅力的ですね。
それに私、主人公の桑原崇くん、好みなんです(笑)

このシリーズ、13~14冊刊行されているみたい。
ちょっと追うのが楽しみかも。

歴史を紐解く感じの物語、興味津々だわ。
それにどうやら、このシリーズで起こる殺人事件は、
付足しみたいなものらしいじゃない?!   ふふふ

殺人事件はおまけで、薀蓄話を楽しむシリーズなんて…
あまり聞かないかも。
「薀蓄シリーズ」 
疲れそうだけど、ゆっくり読んで行こうと思います!

でもこれ、刊行順に読まなければいけないのかな?
シリーズ三作目が、ホームズネタらしいので、
『ベイカー街の問題』 を読んでみたいんだけど・・・
ダメなのかな?



※著者公認ファンサイトで目にしたのですが、
  目次の上から五文字目を、右から読むと二度楽しめるんですって♡
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-16 10:24 | Book
明日があるさ (朝日文庫)
重松 清 / / 朝日新聞社
ISBN : 4022643463
スコア選択: ★★★★★







著者の初エッセイ集。氏の人間性が伺え、バックボーンが描かれている。ファンには宝物。イン・バッグの一冊(これで二冊ww)。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-13 09:48 | 一行review
e0115884_937434.jpg
『ショート・トリップ』
森 絵都 / / 集英社文庫
ISBN : 4087461661
スコア選択: ★★★★
















「毎日中学生新聞」に連載されていたS・S集。兎に角、頭の中を切り替えるのが大変www  イン・バッグの一冊。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-13 09:37 | 一行review
イン・ザ・プール (文春文庫)
奥田 英朗 / / 文藝春秋
ISBN : 416771101X
スコア選択: ★★★★






注射好きでマザコン、能天気な神経科医、伊良部先生。患者にはなりたくないが、知り合いになりたい。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-13 08:47 | 一行review
となり町戦争 (集英社文庫)
三崎 亜記 / / 集英社
ISBN : 408746105X
スコア選択: ★★






戦争の具体性は?さっらと読めるが、掴みどころがなく、現実味のない物語。個人的に香西さんは好き。
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-13 08:43 | 一行review
e0115884_15224363.jpg



アクシデンタル・ツーリスト (Hayakawa Novels)
アン タイラー / / 早川書房
スコア選択: ★★★★★
















この作品は、
私の好きなR.B.パーカーのタッチと似ていることに気付きました。
再読して、本当によかった。  \^○^/

という訳で、やっと再読、終わりました。
アン・タイラーは、私が古今東西で一、二を争う好きな作家♡
本書、文章はとても読みやすくてサラッとしています。 
あっという間に読了でしたし^^;
なのに不思議。 しっかりと臨場感が得られるの。
一つ一つのシーンがくっきりと浮かび上がり、ハッとさせられるフレーズが多々ある。
そしてじんわりと心に残るの。 魔法に掛かったみたい(笑)

この作品は、映画化されています。(観ていませんが^^ゞ)
それに、アン・タイラーにしては…ちょっとシリアスな出来事があるのです。
(邦題「偶然の旅行者」主演:ウィリアム・ハート、ジーナ・デイヴィス)。

主人公、メイコン・リアリーは、ある日20年連れ添った妻のサラと別居します。
彼らは1年ほど前、一人息子のイーサン(12歳)を
バーガーショップに入った強盗の銃撃で亡くしていました。
2人はずっとその喪失感に耐えてきた。  だが、その耐え方には違いがありました。

メイコンは、几帳面であまり感情を露わにしたりは、しないタイプです。
感情をはっきり表現して欲しいと好むサラには、
とても冷たく写り、物足りなさを感じさせていました。
ある時、サラは、メイコンに対し、息子の死後の態度を罵ります。
「あなたがあの子を愛してたのはわかってる。
 でも、わたしほどは愛してなかった。
 あの子の死をもってしても、
 あなたは見も心も引き裂かれるような思いになることはなかった。
 あの子の死をあなたが嘆き悲しんだことは、わかってる。
 でも、あなたの経験のしかたには、なんというか、
 どこか抑制されたところがあるのよ。
 それが愛であれ悲しみであれなんであれ。」
しかし、メイコンは傷ついていたんです。サラよりずっと深く・・・。

メイコンの仕事は、
ビジネスマン用の旅行ガイドブック「アクシデンタル・ツーリスト」(やむなき旅人)を書くこと。
妻に出て行かれたメイコンは、ガイドブック執筆のため、時折旅に出るほかは、
ほとんど人と接しなくなっていきました。

飼い犬エドワード(イーサンが可愛がっていたのです)の世話に疲れたメイコンは
犬の調教師として雇った、ミュリエルという、風変わりな若い女性と知り合います。
そして、その彼女との出会いが、メイコンを変えて行くのです。
中年のメイコンに対し、ミュリエルは若くてとても個性的です。
だが、楽天的でサラよりも破天荒に見えるミュリエルも、人生で傷を負っていました。
結婚に失敗し、体の弱い幼い息子を、一人で抱えていたのです。

メイコンはそんなミュリエルを意識し始め、次第に惹かれていきます。
でも必死で惹かれまいとするの。その反面、彼女といると不思議と安らぐ自分もいたり・・・。
その微妙な心理が、とてもリアルに描かれています。 素晴らしいわ。
これこそが、恋愛の姿なのね!としみじみ思いましたもの。

そんな中、ちょっとしたトラブルから脚を折ってしまったメイコンは、飼い犬のエドワードと
兄妹たちの住む家に転がり込みます。
このメイコンを含む四人兄妹は、奔放な母に捨てられ、厳格な祖父母の元に育ったため
自分達だけの、なんと言うか独特な世界を持っているの(要はかなり変わり者^^;)。
それ故なのか、二人の兄も離婚を経験。
しっかり者だけど、やっぱり変わってる(笑)妹が、家族と地域の人々(主にお年寄り)の
面倒をみています。


メイコンは人生に疲れ、ミュリエルに語ります。
「毎日ぼくはもう立ち直っていい頃だと自分に言い聞かせてる。
 みんながぼくにそれを期待してるのがわかるから。
 みんな昔は同情を示してくれた。
 でも今はちがう。今は息子の名前も口にしない。
 みんなはぼくはもう人生を再出発させていい頃だと思ってる。
 でも、どうしたことか、ぼくは逆にどんどん悪くなってしまってる。
                  (略)
 サラとは互いに傷つけ合うことしかできなかった。
 このことは自分たちのありのままの姿を
 ぼくたちに見せてくれたような気がする。
 いかにぼくたちは、互いにかけ離れた人間なのかということを。
 でも、残念ながら、
 ぼくたちはそもそも互いにかけ離れていたから結婚したのだ。」と。

今の自分は誰からもかけ離れてしまったと嘆くメイコンを、
ミュリエルは支えます。

やがて二人は、一緒に暮らし始めます。
メイコンはミュリエルの息子のアレクサンダーに、
家の修理の仕方を教え、ジーンズを履かせるのです。 
(この子、アレルギー体質で、やせぽっちで、いじめられっ子なの;;)

メイコンは思います・・・。
「これでまた自分の人生は危ういものになった。
 これでまた核戦争と地球の未来について心配しなければならなくなった。
 イーサンが生まれたあと、しばしばとらわれた、
 誰にも言えないうしろめたい思いにまたとらわれた 
 ”今から自分はもう完全に幸福にはなれない”」

そんなある日、
別居中の妻サラがメイコンの前に現れ、もう一度やり直したいと告げるのです…。
メイコンは、自分の優柔不断さから、決断というものをしてこなかったことに気づく。
そして最後に下した彼の決断とは?

こう書くと、なんかシリアスっぽいですが、チガーウ(-_-)ノノ  
基本、物凄~く面白いんです。  
ユーモアとペーソスに満ち溢れていますから。(((*≧艸≦)ププ…ッ!

彼がどんな人生を選ぶことになるのか、気になった方は、是非読んで下さい!


◆ワシントン・ポスト紙より
「美しく、熱く、悲しいくらいに感動的で、そして元気の出る小説…
 常識的に考えて、これ以上の小説はまず望めないだろう」


生きることって、滑稽だし、みじめだけど、なんて素晴らしいの!
人生、なかなか思うようにはいかないけれど、でもやっぱり、悪くないよね―。
と思える素敵な小説です。



と、薦めながら恐縮ですが…本書絶版でした。 。・゚・(*ノД`*)・゚・。 
文春文庫からアン・タイラーの作品がTo;6冊刊行されましたが、 (単行本は全て絶版)
残念ながら本書は、版元が違うこともあって、6冊の中に入っておりません;;
もし、古本屋さんで目にした際は、どうか手にしてみてください。m(_ _)m
[PR]
by merrygoround515 | 2007-12-12 15:18 | Book