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読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎 / / 新潮社
ISBN : 4104596035
スコア選択: ★★★★★





仙台で、新首相の凱旋パレードが行われた。
パレードの最中に、金田新首相は、
爆弾を搭載したラジコンヘリの爆発によって暗殺された。
翌日、一人の男性が容疑者として警察から緊急発表された。
指名手配犯は、青柳雅春。
その男は、二年前にアイドル歌手を強盗事件から救い、
英雄視された人物だった。
メディアによると青柳は、首相暗殺後も
いくつかの事件を起こして逃亡中だという。
青柳と学生時代に交際していた、主婦の樋口晴子は、
容疑者像としてメディアで取り立たされ、語られる男性と、
自分の知っている元彼・青柳とが重ならず、違和感を覚える。
果たして、事件の真相はどこにあるのか―― 書き下ろし傑作長編大作。


※未読の方、これから手にする方へ。
BGMに、ビートルズの 『ABBEY ROAD』 をご用意ください。
お持ちで無い方は、レンタル屋さんへ、レッツ Go-!
(読後、物凄く聴きたくなります。聴けない状態には、 耐えられないかも・・・)


第一部 『事件のはじまり』  プロローグ
第二部 『事件の視聴者』  事件を客観的に見た、一部始終…
第三部 『事件から二十年後』 事件の疑惑…
第四部 『事件』  当事者(青柳)目線で追う事件の真相・・・
第五部 『事件から三ヶ月後』      事件の後日談・エピローグ

全五部の構成。
時間は前後していますが、とにかくこの構成が素晴らしいのだ。
スピード感抜群の文章で、一気に読まされる。
首相殺害の濡れ衣をきせられた青柳雅春が、
見えない巨大な陰謀と戦いながら、逃げる。 ひたすら逃げる。
その緊迫感とリーダビリティたるや否や!
1000枚・500ページという長さを、感じるヒマもなかった。

とにかくこの作品は、どこを読んでも非の打ちどころがない。
途轍もなく面白い! ただただ素晴らしい。  
読後感が、これまた素晴らしい。 
文頭からラストまで、正に「完璧」だ。
伊坂氏の 「現時点での集大成」 である、という 帯の言葉に、
決して嘘はない。


とにかく読んでおくべき、読まねばならない、作品です。
伊坂ファンではなくても、是非読んでください。 
伊坂ファンなら、迷わず買いましょう。 
彼に出会えて、良かった。 
今、心からそう思っています。

それにしても、
「痴漢は死ね」という言葉に、泣かされるとは思わなかった。
「たいへんよくできました」は、しばらくは目にしたくない。
如何せん、瞬時に泣ける。


2007年「マイベスト1」、本書に決定。



【雑記】
21世紀に入ってからの直木賞ですが、
文藝春秋11冊、新潮社2冊、角川書店1冊、マガジンハウス1冊、
前回の幻冬舎1冊です。
そろそろ直木賞は文春の広報だ!と、世間の認知が広がってもおかしくない。
本書は間違いなく直木賞モノです。新潮社並びに伊坂氏に栄光あれ!
本書の完成度は、ずば抜けていますもの、ね!
期待しています。
by merrygoround515 | 2007-12-21 14:32 | Book