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読書日記及び過去の読書         〆(・_・ )メモメモ


by merrygoround515

『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信 / / 東京創元社
ISBN : 4488451012
スコア選択: ★★★






小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが
互恵関係にある高校一年生。
きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。
それなのに、二人の前には頻繁に謎が現われる。
名探偵面などして目立ちたくないのに、
なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、
果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?
新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
(「BOOK」データベースより)


とあるコミュで知り合った学生さんに、薦めていただきました。
若い作家さんの作品です。もちろん初めて手にしました。
参りました。 
世の中まだまだ未開の分野が多々存在していることに、感無量です。

本書は連作短編として、
4つ(いや5つでイイのかな?)の謎解きが行われます。
目次、記載しておきます。

 プロローグ
羊の着ぐるみ
For your eyes only
おいしいココアの作り方
はらふくるるわざ
孤狼の心
 エピローグ

殆どが日常のとても事件とは呼べないような、謎なんです(苦笑)
殺人事件などは一切起こらないし…。
ただ「日常の謎」を扱った、学生生活の物語。
でも、一応は、青春ミステリィなのかな?
「青春」と言っても、
登場人物は決して多くは無い。極めて少数なのだ。
主人公は小鳩常悟朗くん。高校一年生。 
小鳩くんとは同級生で、中学が一緒だった小佐内ゆきちゃん。 
小学校が一緒だった堂島健吾くん。が主な登場人物。
その他主だったキャラは…
堂島くんのお姉さん・知里先輩や高校での面々だけ。
大した範囲でもないのに、なぜなのか、「謎」が
彼ら(小鳩くんと小佐内さん)を巻き込み、事件が起こる。
そしてその気は全く無いのに、彼らは事件を解決していくのだ。
小鳩君の、いやだいやだを装いながらの解決談議は、
コミカルで私のツボでした。
小佐内さんは、同性だからでしょうか? 
私には、早い段階で本性(本質)が見えていました。 (^0^ヘュ-オッホホ♪

面白かったのは、事件や謎解きよりも、
小鳩君のジレンマと小佐内さんのジレンマ。
二人が日々精進し、一生懸命に己と戦っているのが、
ヒシヒシと伝わってくる。
「小市民!」 それがたまらなく面白い。
こういう謎解きも、アリなんだねぇ。

二人の会話も魅力的だった。 
とにかく、どこかズレていて、言葉足らず。
なのに相手には、しっかりと真意まで伝わっているの。
何とも言えない、和みの雰囲気を醸し出しています。 ほっこり。
読者の中には…
もっとはっきり言って!と、物足りなさを感じる人もいるかもしれない。
でも、ここはそう、チラリズムをご堪能、ということで^^;

なかなかどうして、二人とも頭の回転が速いのだ。
成績もほどほどに良いの。 
言葉遣いも格好イイですよぉ~! 
小難しい言葉を普通に使って会話していて、
でも、違和感を感じさせないキャラ達なんだ。素晴らしいでしょ?!
小鳩君は自分自身を
「小賢しい」と形容しているくらいですから。うん、ぴったり!

本当にサラッとしていて、
ミステリィではなく、青春小説を読んだ感じ。
このサラッと感って、如何せん、とても地味なのだ。
暗いのではなく、純粋に地味・・・。分かるかな?
ここまで地味なミステリィは、ないですね(笑)。
あえて内容には触れませんが、
すーっと、本当に軽~い感じのまま、読み終えてしまうので、
忙しい方にもオススメです。 
どうぞ軽い気持ちで、楽しみながら読んでみてください。

最後の最後に、
二人の本当の姿が浮かび上がりますが、とにかく可愛い。
本当にいそうな16歳(15歳)なんだもん。 
彼らの悩みさえもが愛おしくなってしまった。
このコンビ! これからも活躍を期待していいのかしら?
早く、次作『夏期限定トロピカルパフェ事件』を読みたいな。 
昨年、文庫化になっていました!\^○^/


でもその前に、もう一冊お薦めいただいていました。
『さよなら妖精』 でしたね。
先ずはそちらから読ませていただきます。


「じゃあ、始めよう。
 ぼくが思うに・・・・・・、これは推理の連鎖で片がつく」
米澤さん、ついて行きまーす!
by merrygoround515 | 2008-01-16 14:04 | Book